2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17569
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
野崎 寛 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (80632778)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 正則グラフ / グラフの固有値 / s-距離集合 / デルサルト理論 / 代数的組合せ論 |
Outline of Annual Research Achievements |
正則グラフGの次数kと第二固有値(二番目に大きい固有値)を固定したとき,Gの頂点数の上界を与えた,Cioaba氏,Koolen氏, Vermette氏との共著論文「Maximizing the order of a regular graph of given valency and second eigenvalue」がSIAM Journal on Discrete Mathematicsに掲載された.第二固有値が小さいグラフは良い連結性を持つことが知られており,第二固有値を固定した状態で,頂点数を最大にすることは古典的な問題に対する成果であると言える.証明に用いられた道具は,正則グラフに対する線形計画限界と呼ばれる上界であり,デルサルト理論における中心的な役割を果たす道具の一つである.本研究は,球面有限集合と正則グラフの類似を統一的な視点で見ることがテーマのひとつであり,今回得られた第二固有値を与えたときの正則グラフの上界については,球面有限集合ではLevenshteinの上界として類似物が知られていることも興味深い.球面有限集合と正則グラフでのデルサルト理論の統一において重要な成果であると言える. また,安達氏,林氏,山本氏との共著論文「Maximal m-distance sets containing the representation of the Hamming graph H(n,m)」がDiscrete Mathematicsへ掲載された.この論文は,ハミンググラフのs-距離集合としての埋め込みを含むs-距離集合で出来るだけ大きいもの(極大)の分類を行っている.本研究課題のひとつであるs-距離集合の構成を行っており,得られたs-距離集合からの代数的な構造を得ることが期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二固有値と次数を固定した時の,連結正則グラフの頂点数に対して,線形計画限界に基づく上界が得られことは,本研究課題のデルサルト理論のさらなる拡張への重要な具体例である.同様の手法が,他の関連の対象にも適応できると考えられることが理由の一つである.また,極大なs-距離集合が得られたが,この構成法で,本研究課題のひとつであるコヒアラント配置の新しい例を得られる可能性があることが二つ目の理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
共著論文「Maximizing the order of a regular graph of given valency and second eigenvalue」の類似として,正則二部グラフにおいて,次数と第二固有値を固定したときの頂点数に対する上界を得たい.共著論文では,上界を達成する集合について,直径の種類が有限であることが知られているが,二部グラフにおいては知られていないようだ.しかし,既存の方法の応用が十分に期待できる.
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Causes of Carryover |
予定していた国内出張を次年度に延期したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画通り,計算実験のためのノートパソコンとソフトウェア(Mathematica)を購入する.また,研究発表・情報収集のための国内出張・海外出張を行う.そして,必要な書籍の購入も行う.
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Research Products
(6 results)