2017 Fiscal Year Research-status Report
Dirichlet L-関数の解析的性質および素数分布
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16K17574
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宗野 惠樹 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (10735989)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Dedekindゼータ関数 / 保形L関数 / 保形形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の前半はガロア拡大体に付随するDedekindゼータ関数の積分モーメントの評価を行った。数論的な意味を持つL関数の、関東等式の中心線上の積分の大きさの評価は数論において非常に重要な研究テーマである。現在のところ、Dedekindゼータ関数の絶対値の有理数乗のモーメントの下からの評価は何人かの数学者の研究によって知られていたが、冪が無理数の場合に同様の評価ができるかどうかに関しては未解決であった。私は、Sylvester数列を用いた有理数による近似を導入することで、冪が無理数の場合にも有理数の時と同様の下からの評価が一切の仮定なく得られることを示した。この研究は海外の雑誌(Journal of Number Theory)に投稿し、掲載が確定している。 また、年度の後半はGL(2)の保形L-関数のDirichletツイストのnon-vanishingの問題を中心に研究を行った。数論的なL関数が関数等式の中心点において零になるか、ならないかという問題は、整数論における最も重要な問題の1つであると考えられている。GL(2)の保形形式のDirichletツイストの場合には、L関数が1/2で零にならないものが無限に存在することが近年の研究によって知られている。私はこの問題を関数等式の帯領域上の任意の点に拡張し、与えられた任意の点に対し、L-関数の指標に関する平均を計算することで、その点で非零になるようなDirichlet指標が無限に存在することを証明した。この結果は論文にまとめて現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題としてきたL関数の解析的な性質に関して様々な側面から考察を行い、複数の論文を執筆し、そのうち少なくとも1つは専門誌に掲載が確定している。このため、現在のところ研究はおおむね順調に進展しているとみなせる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きL関数のモーメントとnon-vanishingの問題について研究を行う。これらの研究に関しては様々な手法が次々と生み出されており、研究集会などで国内外の研究者と議論を重ねることでこれらの技術を学び、今後の研究に大いに役立てたい。
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Causes of Carryover |
授業の関係などで予定よりも研究集会に出向く回数が少なくなったため、経費が余る結果となった。今年度はより多くの研究集会に参加することに経費を使用したい。
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