2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17575
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野村 次郎 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特任助教 (10772121)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Stickelberger元 / p進Artin L関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は非可換Brumer-Stark予想などの非可換Galois拡大に対して定式化されている予想の精密化を行うことが目的である。そのためにまずは非可換Fitting inariantの代数的な研究を行うことを計画していたが、それに先んじてp進Artin L関数とStikcelberger元との関係に関する結果を得ることが出来た。より正確には、Stickelberger元のある種のintegralityを仮定することによって、p進L関数をStickelberger元の逆極限として構成可能であることがわかった。この事実は本研究の目的の一つである「非可換岩澤理論におけるp進L関数」とStickelberger元との関係の解明の第一歩となる重要な結果であると考えている。また、未だに明らかになっていないp進Artin L関数のs=0での補間公式(複素L関数のs=0での値を補完している)をその系として与える重要なものである。本研究を遂行する上では岩澤主予想といった岩澤理論的な道具を利用することが重要であるが、p進Artin L関数の補間公式が明らかになっていないために、最終的に複素L関数に関する結果を得られない状態が本研究に限らずに続いていたが、その問題がStickelberger元のintegralityに帰着されたという点でも意義深いものである。さらに要請されるintegralityは広く予想されているものよりも若干弱いもので十分であることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Stickelberger元とp進Artin L関数との関係を明らかにすることは当初からの目的の一つではあったが、まだある種のintegralityを仮定せざるを得ない状況にあること、また、現状では「非可換岩澤理論におけるp進L関数」とStickelberger元との関係を明らかにするには至っていないということから「やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「非可換岩澤理論におけるp進L関数」とStickelberger元との関係を明らかにすること、Stickelberger元のintegralityを必要な強さで証明することを研究の方針とする。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究遂行中、ドイツ人数学者のAndreas Nickel氏を次年度招聘する計画が立ち上がった。来年度の予算を鑑み本年度の一部を来年度の招聘費用に利用する必要が出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由で述べた通り、ドイツ人数学者のAndreas Nickel氏の招聘費用として利用する。
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