2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17582
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中島 規博 東京電機大学, 情報環境学部, 助教 (90732115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超平面配置 / 誤り訂正符号 / 自由配置 / 特性多項式 / Hamming重み多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
超平面配置と誤り訂正符号には強いかかわりがある。具体的には、誤り訂正符号を生成する行列は列ごとに見れば超平面配置の定義式であり、逆に座標を固定した超平面配置の定義多項式から誤り訂正符号の生成行列を作ることができる。本研究では超平面配置の理論と誤り訂正符号の理論を融合し、両分野を発展させることを目的としている。 平成28年度は、(A)超平面配置の特性多項式と誤り訂正符号の重み多項式の関係、(B)符号理論的アプローチから2元体上の超平面配置の自由性を研究した。 (A)に関して、「重み多項式の最高次係数は特性多項式に有限体の位数を代入した値である」という関係や「1つの超平面に対する制限と除去から帰納的に重み多項式を計算する方法」をみつけたが、既知の結果であった。本研究はJurrius氏が研究する拡張重み多項式やcoset leader重み多項式と関係があるため、今後はこれら多項式の研究を進める。 (B)に関して、「2元体上の超平面配置が自由であるならば基底に多項式次数2の元が含まれる」ことが符号理論と超平面配置の事実から直ちに証明できる。この事実を足掛かりに、2元体上の超平面配置の自由性をすべて決定する研究を進めた。また、研究を進めるうちにハイパーグラフを使って超平面配置を記述することが具体例計算に有効であることが明らかになった。今後はハイパーグラフの理論も視野に入れて研究を進める。(B)は北海道大学の辻栄氏と連絡を取りながら研究を進めている。 また、それぞれの分野をより深く理解するために超平面配置の高階微分作用素、誤り訂正符号の復号などの研究も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績に述べた(A)について、Coxeter配置などの具体的な超平面配置に対して誤り訂正符号の重み多項式を計算し、特性多項式と重み多項式の関係を導く研究を行った。一方で、巡回符号や自己双対符号など具体的な誤り訂正符号に関する特性多項式の計算は手つかずであった。平成29年度の研究では、これら特性多項式の具体例計算から研究を始める。 研究実績に述べた(B)について、超平面配置をハイパーグラフとしてとらえる考え方は、グラフ配置の一般化にあたる。平成29年度は「グラフ配置で知られている自由性の特徴づけのアナロジーを構成できるか?」という視点から研究を進めている。 (A)(B)ともに目立った結果はないが、研究の方針を立てられているため「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記(A)(B)の他に平成29年度の研究実施計画に記載した誤り訂正符号のlocalityに関する研究も進める。また、これらの研究が予定通りに進まない場合は、研究の視野を広げるために超平面配置の高階微分作用素や誤り訂正符号の復号の研究も進め、超平面配置と誤り訂正符号の関係を調べる。
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Causes of Carryover |
購入予定であったMATLABを他経費で賄うことができたことと、参加予定であった国際会議への参加を取りやめ、次年度に開かれる別の国際会議出席費用に充てることにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
6月にイタリアで行われる研究集会での情報収集と、ドイツにいる吉永正彦氏との研究打ち合わせのための旅費に使用する。また、当初より視野を広げて研究をする必要性が生じたため、それらの情報収集・研究打ち合わせのための費用に充てる。
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