2016 Fiscal Year Research-status Report
擬リーマン対称空間上の固有な群作用の組合せ論的手法を用いた研究
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16K17594
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥田 隆幸 広島大学, 理学研究科, 助教 (40725131)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Lie 群 / 不連続群 / 対称空間 / 固有な作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
G を Lie 群とし, X を G が推移的に作用する多様体(等質空間)とする. 本研究の目的は (G,X)-多様体と呼ばれる種類の多様体をたくさん構成するということである. (G,X)-多様体には X 上の G-不変な局所構造が移植されるため, 豊富な幾何構造を持つ多様体が得られることになる. (G,X)-多様体の構成にあたり有用な方法の一つは 「G の部分群 Lie 群 L であって, X に固有に作用するものを構成する 」というものである. 本研究では特に G が半単純 Lie 群であり, X が擬リーマン対称空間であるような場合において, 上記のような L の構成についての研究を行っている. 報告者の以前の研究により, L が SL(2,R) と局所同型であるような場合においては, そのような L の構成や分類についての結果が知られていた [J. Differential Geom. 2013]. 本研究のテーマはこのような結果を L が SO(n,1) や SU(n,1) と局所同型であるような場合について一般化することであった. 当該年度の研究により ``(G,L) が対称対である'' という設定においては, 上記のような L の構成と分類を行うことができた[論文準備中]. 分類に現れる L の中には SU(n,1) と局所同型なものや SO(n,1) と局所同型なものも重要な例として含まれている. また当該年度の研究による副産物として, このような固有な群作用の研究が, リーマン対称空間内の全測地的部分多様体の交叉の研究と密接に結びついていることが明確となった. その対応関係について, 各地で研究発表を行った[日本数学会2017年度会 幾何学分科会特別講演など].
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究として ``(G,L) が対称対である'' という設定において, 擬リーマン対称空間 X = G/H に固有に作用する L の分類を行った. これは当初の研究計画にそったものである. また本研究の副産物としてリーマン対称空間内の全測地的部分多様体と本研究のテーマが密接に結びついていることが明確になった. これにより全測地的部分多様体の専門家との共同研究が今後よりスムーズに行えると期待している.
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Strategy for Future Research Activity |
「一般に半単純 Lie 環 g と実ランク 1 のリー環 l が与えられたとき, l から g への準同型の分類を行う」ということが本研究のさらなる前進のために必要不可欠である. この研究について竹内勝氏の一連の先行研究をよく勉強することが重要であるということが分かってきた. 今後は竹内勝氏の先行研究を勉強し, それらを本研究に繋げるという作業を行う予定である.
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Research Products
(21 results)