2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K17596
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石田 裕昭 鹿児島大学, 理工学域理学系, 助教 (00722422)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複素多様体 / トーラス作用 / 葉層構造 / トーリック多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
Katzarkov, Lupercio, Meersseman, Verjovskyらによってnoncommutative toric varietyが導入された. 彼らによる定義は, ある組み合わせ論的なデータを用いて複素多様体とその上の葉層構造を構成し, その葉空間を微分空間として理解したものであり, 外在的な定義だった. 過去の研究において, 多様体上の極大なトーラス作用の概念を導入し, コンパクトな複素多様体であって極大なトーラス作用を許容するものの完全な分類が得られていた. また前年度までの研究において, トーラス作用で不変な葉層構造, 横断ケーラー構造とモーメント写像を統一的に扱い, 複素多様体にはその複素構造だけから定まる特別な葉層構造 (canonical foliation) があり, それがモーメント写像を持つような横断ケーラー構造を持つ葉層構造の下界であることや, モーメント写像の像は凸多面体であること, すなわちシンプレクティック幾何におけるAtiyah, Guillemin-Stanbergのconvexity theoremの類似が成り立つことを示していた. さらに極大なトーラス作用付きの複素多様体に, canonical foliation を入れたものは, Katzarkov, Lupercio, Meersseman, Verjovskyらのnoncommutative toric varityを完全に包括することがわかっていた. 当該年度では, 極大トーラス作用付きの複素多様体がcanonical foliationに関して横断ケーラー構造を持つならばKatzarkov, Lupercio, Meersseman, Verjovskyらのnoncommutative toric varietyと横断同値であることがわかった. 言い換えればnoncommutative toric varietyの内在的な定義を得ることができた. またこれらがある組み合わせ論的な対象から, トーラス作用付きの葉層構造付きの複素多様体が, 横断的に同値なものを除いて1つ定まることが得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画とほぼ同等のことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
極大なトーラス作用付きの複素多様体にcanonical foliationを入れたものに対して, basic cohomology, basic Dolbeault cohomologyの具体的な記述を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由)予定していたよりも旅費が多くなったために, 当該年度の計算機の購入には残額が不十分となったため, 計算機の購入を見送った (使用計画)次年度分と合わせて計算機を購入する予定である.
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