2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K17602
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
豊田 哲 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 准教授 (50599701)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CAT(0)空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度中に得た「距離空間が, M.Gromovが定義した4点サイクル条件を満足するならば, 4以上の任意の自然数kに対してk点サイクル条件を満足する」という結果, および,「高々5点からなる距離空間がCAT(0)空間へ等長埋め込み可能であるための必要十分条件は重み付き4点不等式を満たすことである」という結果について国内のいくつかの研究会で発表を行った. また, これらの結果を併せて一つの論文にまとめる作業を行ったが, 分量が予期していたものよりかなり嵩んでしまったため, 現在, 二篇の論文に分割する形で執筆を進めている. Gromovにより, 距離空間が「4点サイクル条件」を満たすことと「重み付き4点不等式」を満たすことは同値であること, また, CAT(0)空間の任意の部分集合は4以上の任意の自然数kに対して「k点サイクル条件」を満足することが既に知られているので, 上で述べた結果は, 「重み付き4点不等式」を満足する距離空間がCAT(0)空間の部分集合が持つ多くの性質を持つことを示したものといえる. そこで, この不等式が成立することから, CAT(0)空間の部分集合が持つ性質がどの程度まで導かれるのか研究を進めた. その結果, 少なくとも, 含まれる点の個数に制限のない一般の距離空間については, 「重み付き4点不等式」が成り立つとしても, 必ずしもその距離空間がCAT(0)空間へ等長埋め込み可能であるとは限らないことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において中心的な目標としていたポアンカレ不等式に関する問題の解決には至っていないが, 「4点サイクル条件」から4以上の任意の自然数kに対する「k点サイクル条件」が導かれることや, 高々5点からなる距離空間がCAT(0)空間に等長埋め込みできるための必要十分条件は距離空間が「重み付き4点不等式」を満たすことであることなど, 当初は予期していなかったような結果を得ることができ, そちらの方面に研究が進展している. また, 得られた結果に関して, 講演発表および論文の執筆作業を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは, 「距離空間が, M.Gromovの定義した「4点サイクル条件」を満足するならば、4以上の任意の自然数kに対して「k点サイクル条件」も満足する」という結果, および,「高々5点からなる距離空間がCAT(0)空間に等長埋め込みできるための必要十分条件は「重み付き4点不等式」をみたすことであること」という結果をそれぞれ論文として発表する. また, 含まれる点の個数が高々5とは限らない一般の距離空間に対しては, 「重み付き4点不等式」が成り立つことが, CAT(0)空間へ等長埋め込み可能であることを必ずしも導かないことが分かったことを踏まえて, この不等式が特徴付けている距離空間の性質をより明確に理解したいと考えている.
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Causes of Carryover |
年度中に所属を変更し, それにともなって出張計画等を変更せざるを得なかったため.
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Research Products
(5 results)