2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17605
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
本田 淳史 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90708611)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 波面 / カスプ辺 / ツバメの尾 / カスプ状交差帽子 / 交差帽子 / Kossowski計量 / Whitney計量 / ランフォイドカスプ辺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,半正定値計量の特異点の実現問題,特異点を許容する空間型の間の等長はめ込みの分類の2つの課題について研究を行った. 半正定値計量の特異点の実現問題について,研究代表者は自身の以前の研究で,「Kossowski計量」と呼ばれる波面の第一基本形式をモデルとした半正定値計量のクラスを導入していた.本研究では,平成28年度に直川耕祐氏,梅原雅顕氏,山田光太郎氏との共同研究で,任意に与えられた実解析的なKossowski計量を第一基本形式に持つような3次元ユークリッド空間のフロンタルが存在することを示していた.さらにその応用として,極限法曲率が消えないようなカスプ辺,カスプ状交差帽子の等長変形のモジュライ空間を決定していた.平成29年度は佐治健太郎氏との共同研究で,カスプ辺,カスプ状交差帽子より退化した特異点である,ランフォイドカスプ辺(5/2―カスプ辺)の幾何学的性質を調べた.とくに,平成28年度に得られたKossowski計量の等長実現定理を用いて,極限法曲率が消えないようなランフォイドカスプ辺の等長変形のモジュライ空間を決定することができた.これらの結果は現在投稿中である. 特異点を許容する空間型の間の等長はめ込みの分類については,村田-梅原による3次元ユークリッド空間の完備な平坦波面の分類や4頂点型定理の高次元化を目標として研究を行った.平成28年度に,4次元以上のユークリッド空間への完備かつ平坦な連接接束の波面としての等長実現は特異点を許容せず柱面に限ることを示し,同じ非負の断面曲率を持つ空間型の間の波面としての等長はめ込みの分類を与えていた.平成29年度は,この研究結果を論文にまとめ投稿し,Proceedings of the Japan Academy, Ser. A, Mathematical Sciences に掲載された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半正定値計量の特異点の実現問題については,1年目に得たKossowski計量の等長実現定理を応用することで,ランフォイドカスプ辺の等長変形定理や,それを用いてランフォイドカスプ辺の様々な幾何学的不変量の内在性・外在性を示すことができた.さらにこの結果を論文にまとめることもでき,現在投稿中である.また,特異点を許容する空間型の間の等長はめ込みの分類については,ユークリッド空間の完備な平坦波面の分類を論文にまとめることができ,その論文は国際的にも評価のある一般誌に掲載された.上記のことから,順調に進展していると思われる.
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の成果をふまえ,半正定値計量の特異点の実現問題については,Whitney計量の等長実現問題に取り組む.とくに,ブローアップしてCauchy-Kowalevskiの定理を適用する方針と,Whitneyの交差帽子の判定法に現れる動標構の方法の2種類でのアプローチで解決を目指す.また,特異点を許容する空間型の間の等長はめ込みの分類については,1・2年目の結果からユーックリッド空間の特異点を持つ完備な平坦波面が存在するのは2次元の場合のみであることがわかったため,2次元の場合をさらに詳しく調べる.とくに,特異点の双対性と呼ばれる現象が平坦波面に対しても成立するかどうかを調べる.そのような双対平坦波面の大域的性質も調べる.さらに,複素の場合の平坦波面の分類も目指す.
|
Causes of Carryover |
平成29年度から横浜国立大学へ異動し,関東への旅費が想定していた額よりも少なくなったため次年度使用額が生じた.次年度使用額は,翌年度分として請求した助成金と合わせて,共同研究者の佐治健太郎氏の所属する神戸大学への出張の旅費に使用する.神戸大学への出張は複数回を想定.
|
Research Products
(14 results)