2016 Fiscal Year Research-status Report
相互作用する場の量子論の系のスペクトル解析・散乱理論
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16K17607
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高江洲 俊光 群馬大学, 大学院理工学府, 講師 (10614042)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 相対論的場の量子論 / フォック空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
[得られた研究成果題目] 量子化されたKlein-Gordon場が静的な源と相互作用する系の古典場の方程式の解の構成について [内容] 表題にある通り、量子化されたKlein-Gordon場が静的な源と相互作用する系について研究を行い、以下の研究結果が得られた。ここで静的な源とは、時間に依存しない密度分布を持つ源のことである。また、量子化されたKlein-Gordon場とはKlein-Gordon方程式に従う粒子が生成・消滅する場である。量子化された場のハミルトニアンはボソン・フォック空間上の自己共役作用素となるが、物理的には粒子が生成・消滅しながら相互作用している系を記述している。主結果として、系のハミルトニアンと紫外切断が加わっていない場の作用素を用いて、量子化する前の古典場の方程式の解を構成した。 [意義・重要性など] 1.一般的に量子化された場ともとの古典場の方程式の解の関係は明らかでない。今回はフォック空間上で数学的に厳密に定義されたハミルトニアンと場の作用素から作用素論的な手法で解を構成できた。このことは、場の量子論に関連する古典場の方程式が、作用素論的な手法で構成できることを示唆している点に意義がある。 2.通常、相互作用する場の量子論の数学的な研究においては、粒子の運動量の大きな効果を考慮に入れない紫外切断関数を導入する。今回は、ハミルトニアンにはその紫外切断条件が課されているが、場の作用素に紫外切断関数を導入していない。そのため場の作用素に関しては、運動量の大きな効果に関する評価が必要となるが、古典場の方程式を導出する以外でも応用が可能であるノルム不等式を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相互作用する場の量子論の研究成果として、研究実績の概要に記載したKlein-Gordon場が静的な源と相互作用する系の古典場の方程式の解が得られたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
他の量子場のモデルでも、量子かされた場からもとの古典場の方程式の解が得られると予想しており、引き続き量子化された場と古典場の双方に関連する研究を進めていきたい。また、量子場の作用素自体も作用素値方程式を満たすことは知られており、異なる量子場同士が相互作用する場合の作用素値方程式の研究も進めていきたい。
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Causes of Carryover |
報告者の都合のため、文房具などを購入するための次年度使用額金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に余った金額分は文房具などの消耗品の購入に当てる予定であり、当初から今年度分に割り当てられる金額分は申請通りに使用する予定である
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Research Products
(3 results)