2017 Fiscal Year Research-status Report
無限次元構造の作用素(環)論的研究と記述集合論への応用
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16K17608
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
安藤 浩志 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (40767266)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 作用素環 / スペクトル理論 / Polish群 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)松澤泰道氏との共同研究で, C*環のユニタリ群のノルム閉部分群として実現可能なPolish群の構造について調べた. 多くの有限型Polish群(有限型von Neumann環のユニタリ群の強閉部分Polish群)がこの性質を持たない事が分かった。現在も研究を進めている。 (2)固定した可分Hilbert空間H上の非有界自己共役作用素全体の集合SA(H)に強レゾルベント収束位相を与え, Polish空間とみなし, この空間へのユニタリ群U(H)の共役作用の満たす性質を調べた。作用の軌道の位相的構造が非有界自己共役作用素の列に対するKrupa--Zawiszaの意味の超積の構造と対応する事がわかった。現在論文を執筆中である。 (3)Uffe Haagerup, Cyril Houdayer, Amine Marrakchiとの共同研究で、III型因子環の包含(N\subset M)の組に対して、増田氏の定義した相対再可換子環(relative bicentralizer)の上に, Connes-Stormer推移性定理から得られる自然なR-作用が存在することを示し, このR-作用のエルゴード性や周期とamenableな因子環の条件付き期待値込みでの埋め込みとの関係を調べた。包含が自明(M=N)な場合でもこのR-作用の存在は非自明である。またこのR-作用との類似のR-作用がdominant weightを介しても定義できるが、これらが定める力学系同士が似た振る舞いをすることも具体例で確認した。この類似は、いわゆるConnesのbicentralizer問題が肯定的に解かれるべきである事(少なくとも我々の発見したR-作用がエルゴード的である事)を暗示しているように思われる。現在までに得られた結果は論文にまとめており、H30年度に出版出来る事を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)については当初想定していたほど望ましい結果がまだ得られていないが、少しずつ成果は出てきている。(2)については当初計画していたテーマではないが、超積の研究を行う過程で副産物として得られたのは幸運であった。様々な超積を距離空間に対する連続モデル理論を用いて、より統一的に理解する事が大切ではないかという着眼を得られたことも重要であった。(3)は長い間調べたいと思っていた問題について、2017年度の研究の進展によって急速に理解が深まった。この研究が2017年度行ったものの中で最も順調であったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)については現在断続的に研究している直交Hilbert-Schmidt群の有限型およびIII型表現の研究との関連も調べつつ、様々な解決手段を模索していきたい。(2)は現在モデル理論の理解が不十分である為、モデル理論を学びつつ超積に対する理解や応用可能性を検討する。(3)はR-作用がもたらす帰結を調べ切ったとは到底言えず、様々な未解決問題が浮上した。その多くは現在の技術で解決が困難なように思われるが、subfactorの理論を学びつつ、解決できる問題を見つけて着実に研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
東大作用素環セミナーへの出席を取りやめたため次年度使用額が生じた。 H30年度の研究に必要となるセミナーへの出席の際の交通費として使用予定。
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Research Products
(7 results)