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2016 Fiscal Year Research-status Report

理論と数値解析による非双曲型力学系の研究

Research Project

Project/Area Number 16K17609
Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

篠原 克寿  一橋大学, 大学院商学研究科, 准教授 (50740429)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords非双曲型力学系 / 微分力学系
Outline of Annual Research Achievements

本年度は以下の三つの研究を遂行した.1.非双曲型力学系のうち,部分双曲型力学系と呼ばれるクラスがある.一般に非双曲性があると系の周期点の個数の(周期に関する)増大度が大きくなると期待される.この事実が通有的に成立することをある条件を満たす部分双曲型力学系の族に対して成立する,ということの証明に関して研究を行った.結果は現在論文としてまとめており,近いうちに公開することができるようになる予定である.また,本結果を証明するために必要な歪直積力学系に対する同様の結果が論文として本年度公開された.
2.非双曲型力学系のうち,部分双曲型力学系について,その非双曲性が摂動に対して頑強(ロバスト)に発生するための重要なメカニズムとしてブレンダーと呼ばれるものがある.ブレンダーそれ自身は力学系の再帰に関して一定の条件を課したものとして得られるが,その構造(極限集合がどう見えるか,など)の直感的理解はそれほどやさしくはない.研究代表者の過去の研究で,ブレンダーを持つ二次多項式系の例が得られているが,この例を実際にコンピュータを用いて可視化するという研究を行った.この例は具体的な例の可視化として得られているので,系のパラメータを変化させることにより,ブレンダーがどのように生成・崩壊していくかが目で見えるようになり,このような知見は非双曲型力学系の研究の促進に重要な役割を果たすことが期待される.現在研究結果を論文としてまとめている.
3.非双曲型力学系のうち,野生的と呼ばれるクラスの力学系の分岐に関してこれまで研究を続けている.野生的力学系は例自体があまり知られていないが,本年度,体積双曲的と呼ばれるクラスの力学系が野性的になりうるという事実を,これまでに研究してきた摂動技術(flexible pointsと呼ばれる)を用いることで証明を与えた論文が出版された.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究で行っている三つの研究に関して,それぞれ状況を述べる.
1.非双曲型力学系の周期点の増大度に関する研究に関しては,技術的な細部はすべて詰められて,現在論文を執筆中である.ただ細部に関してこれまで既存の文献にはない摂動技術を基礎から記述する必要があり,この部分に時間がかかっている.とはいうものの,全体としては順当に進捗していると考えられる.論文執筆は平成28年度一月から三月にかけて集中的に行ない,本研究の期間中には必要ならさらに出張を行い関連する研究者と議論を深めるなどして作業を進める予定である.
2.ブレンダーの可視化の研究に関して.こちらも順当に進捗していると考えられる.現在までにブレンダーを数値計算・可視化するプログラムの作成,設定に関してはすでに終了した.プログラム作成に関しては大量の数値計算をするためにプログラムの工夫が必要であったが,一部アドホックな計算方法を取り入れるなどして,これまでの理論との整合性もある数値計算結果が得られた.さらに,系のパラメータを変化させることにより,ブレンダーの分岐の様子が見えるようになり,これは大きな進捗だと考えられる.あとは得られた可視化結果を論文にまとめる作業が残っている.
3.野生的力学系の分岐理論に関して.これに関しては3月中に出張を行い集中的に関連する研究者と議論を重ねた.その結果,本研究に関する技術的に複雑かつ数学的に最も興味深い部分の証明に関して見通しを立てられた.これを論文化する予定であるが,その筋道に関しても現在までに十分な進捗が得られており,それゆえ本研究も順調に進捗しているといえる.なお,本研究の前段階の研究が本年度論文として出版された.
以上,三つの研究とも,当初の予定以上の進捗があったとは言えないものの,当初の計画通りには進んでおり,全体としては順調に進捗しているといえるであろう.

Strategy for Future Research Activity

上で述べた三つの研究に関して,それぞれ今後の計画予定に関して述べる.
1.非双曲型力学系の周期点の増大度に関して.現段階で証明の技術的な部分に関しては議論が終わっているので,まずはこれまでに得られた知見を基に論文を完成させ,論文として出版することが第一の目標となる.それと同時に,国内外の研究集会などで本結果に関する講演を行うなどして結果の周知を図る予定である.具体的な計画が立っているものとしては6月にアメリカで行われる非双曲型力学系の研究集会での発表を予定している.その他,現段階では計画されてないものに関しても積極的に参加を計画する予定である.
2.ブレンダーの可視化の研究に関して.これも現段階ではプログラムの作成などは終了しており,目下の目標は論文として完成をさせることである.考えている対象が3次元空間内の複雑な構造を持つものなので,その可視化に際して,パラメータの選び方などに時間がかかる可能性もありうるが,平成29年度中盤くらいまでには論文完成を予定している.また,当該研究に関しても国内外でのセミナーや研究集会などを通じて結果の周知を図る予定である.
3.野生的力学系の分岐理論に関して.当該研究に関しても,目下の目標は論文完成と出版である.現段階である程度執筆は進んでいるので,引き続き関連する研究者と密に連絡を取りつつ作業を進めていきたい.特に問題が無ければ本研究に関しては平成29年度中に論文にまとまるのでないかと期待される.それと同時に,これまで行ってきた研究はさらに深い分岐理論を得るための潜在性を持っているので,論文執筆を進めると同時に,これまでの研究で得られてきた摂動技術を用いることでどのような別の結果が得られるのか,その可能性に関して関連研究者を訪問する,招へいするなどして議論を持つ機会を平成29年度中に幾度か設ける予定である.

  • Research Products

    (6 results)

All 2016 Other

All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Univerisity of Auckland(ニュージーランド)

    • Country Name
      NEW ZEALAND
    • Counterpart Institution
      Univerisity of Auckland
  • [Int'l Joint Research] Imperial College London(英国)

    • Country Name
      UNITED KINGDOM
    • Counterpart Institution
      Imperial College London
  • [Int'l Joint Research] Universite de Bourgogne(フランス)

    • Country Name
      FRANCE
    • Counterpart Institution
      Universite de Bourgogne
  • [Journal Article] Volume hyperbolicity and wildness2016

    • Author(s)
      C. Bonatti and K. Shinohara
    • Journal Title

      Ergodic Theory and Dynamical Systems

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1017/etds.2016.51

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Degenerate behavior in non-hyperbolic semigroup actions on the interval: fast growth of periodic points and universal dynamics2016

    • Author(s)
      Masayuki Asaoka, Katsutoshi Shinohara, Dmitry Turaev
    • Journal Title

      Mathematische Annalen

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1007/s00208-016-1468-0

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] Volume hyperbolicity and wildness2016

    • Author(s)
      K Shinohara
    • Organizer
      Dynamics, Bifurcations, and Strange Attractors
    • Place of Presentation
      Lobachevsky State University of Nizhny Novgorod,ニジニノブゴロド(ロシア)
    • Year and Date
      2016-07-18
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16   Modified: 2022-02-21  

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