2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17610
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
應和 宏樹 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10549158)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 実解析 / 保存則方程式 / 非線形現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
保存則方程式の初期値問題の弱解は,一般に一意でないので,適切な解を選ぶためにエントロピーの概念を導入する必要がある.このエントロピーの概念によって選出された弱解をエントロピー解という.様々なエントロピーが多くの研究者によって提案されてきたが,その中で最も有名なものは,1970年にKruzhkovによって提案されたKruzhkovタイプのエントロピーである. 本年度では,1次元保存則方程式の初期値問題に対するエントロピー解の一意可解性についての研究を行うための準備として,Kruzhkovタイプのエントロピーをある不連続な流束をもつ保存則方程式の初期値問題に対して拡張することを試み,ある一定の成果を得た.特に,流体力学などにおける相転移を表す方程式において相転移が起きている区間の幅を0に収束させた場合を表す保存則方程式のリーマン問題に対して,本研究課題で得られたエントロピーを適用することで,その一意可解性を示した. さらに,本年度では,より一般の初期値をもつ保存則方程式の初期値問題に対して,そのエントロピーが適用できるように,2005年にDias-Figueira-Rodriguesによって導入された解の概念の拡張を試みた.そのような試みの中で,ある特別な場合の保存則方程式の初期値問題に対して,希薄波とよく似た性質をもつ擬似的な希薄面が出現することを発見し,その性質についての詳細な解析とその概念の数学的な一般化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的の一つであるKruzhkovタイプのエントロピーの概念の拡張については,おおむね順調に進展していると言える.また,保存則方程式の初期値問題に対する新たな解の概念もいくつか見出すことができたため,総合的観点からおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後についても,引き続き,エントロピーの観点から保存則方程式の初期値問題に対する一意可解性の研究を行う予定である.また,その研究にさらなる進展が見られたならば,それらのエントロピーの概念を保存則方程式系に対して適用できるか考察し,保存則方程式系の初期値問題の一意可解性の解決への糸口を探る.
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Causes of Carryover |
大学の改組等もあり,当初の予定よりも大学業務が多忙であったため, 研究打合せや研究集会への参加の時間が取れず, 未使用金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は当初計画以上に研究打合せや研究集会への参加を行うことで, 本研究のさらなる進展を図りたい.
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