2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17611
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山本 謙一郎 長岡技術科学大学, 工学研究科, 講師 (30635181)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大偏差原理 / 一方通行の明記性 / 公理A力学系 / 部分双曲型力学系 / 有限軌道の分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
力学系に関する大偏差原理の研究は明記性を持つ力学系については多くの成果が得られているが、明記性を持たない力学系、特に高次元非双曲型力学系の場合、研究が十分に進んでいない。このような状況に鑑み、明記性を持たない記号力学系に対して、明記性を持つ軌道とそれ以外の軌道に有限軌道を分類することにより大偏差原理成立のための判定法を構築したのがV. Climehaga氏(Houston大)とD. Thompson氏(Ohio大)との共同研究である。この判定法によりS-gapシフトなどの記号力学系に対して新たに大偏差原理の成立が確認できた。この結果は雑誌``Transaction of the American Mathematical Society"に掲載された。この有限軌道の分類による研究手法を中心方向の殆ど伸びた部分双曲型力学系に対して用いることが当初の計画であったが、その重要な具体例であるマニエの導来アノソフ写像の場合に適用することが困難であることがわかった。この困難性は不安定多様体の次元が空間全体で一定でないことなどに起因する。そこで、そのような場合の知見を深めるために不安定多様体の次元が空間全体で一定でないような力学系のうち比較的扱いやすいと思われる公理A力学系、特にスメールの馬蹄写像やDA写像といったものを考察した。その結果、一方通行の明記性という新しい概念を用いることによりこれらの力学系に対して大偏差原理の成立を示すことができた。また一方通行の明記性を用いた大偏差原理の研究手法は近年複数の研究者によって研究されているSoficな負ベータ変換、負ベータ記号力学系にも適用可能であることが確認できた。この結果は雑誌``Kyushu Journal of Mathematics"に掲載予定である。得られた結果は国内外の研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要で述べたように、部分双曲型力学系に関して有限軌道の分類による手法を適用することが困難であることは当初の思惑からは外れたが、打開策として一方通行の明記性を用いた大偏差原理の研究手法を開発できた。また、明記性を持たない記号力学系や不安定多様体の次元が空間全体で一定でないような力学系に関する大偏差原理の新しい結果が得られた。以上を勘案して、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究概要において述べた研究代表者の古典的な公理A力学系に関する結果を一歩推し進めて、より広いクラスの公理A力学系について大偏差原理が成立するかどうかを考察する。それにより不安定多様体の次元が空間全体で一定でない場合の知見を深めたうえで部分双曲型力学系に関する大偏差原理の研究を進める。これらの研究を円滑に行うために国内外の研究集会に参加し、得られた結果の研究発表および参加研究者との研究討論を行う。
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Causes of Carryover |
前年度に購入した図書が当初の予定よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に前年度購入予定であった図書を購入する。
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Research Products
(6 results)