2018 Fiscal Year Research-status Report
完全WKB解析による団代数および位相的漸化式の研究
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16K17613
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩木 耕平 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 助教 (00750598)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 完全WKB解析 / 位相的漸化式 / Painleve方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
・量子曲線の Voros 係数と位相的漸化式の自由エネルギーについて. 小池達也氏 (神戸大) と竹井優美 子氏 (神戸大) との共同研究により、超幾何微分方程式およびその合流方程式を位相的漸化式による「スぺクトル曲線の量子化 (量子曲線)」として実現し, さらにその Voros 係数と位相的漸化式の自由エネルギーの関係を定式化・証明することに成功した. 応用として, Voros 係数の性質を通じて, 自由エネ ルギーを記述する明示的な公式を導くことにも成功した. 結果は2編の論文にまとめ, それぞれ現在投稿中である.
・I 型 Painleve方程式の 2-パラメータ解の構成について. 第 I 型の Painleve 方程式の一般形式解 (2-パラメータ解) を, 位相的漸化式を用いて構成することに成功した. 具体的には, 楕円曲線に対して位相的漸化式 を適用して得られる分配函数を, 周期について離散 Fourier 変換することてで I 型 Painleve 方程式の 2-パラメータ τ -函数を構成した. 応用として, 幾つかの予想を仮定した上で Painleve 方程式に付随する等モノドロミー系の Stokes 係数を明示的に記述することに成功した. これらの結果についてまとめた論文も現在投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時点での一つの目標であった「Voros係数と位相的漸化式の関係」について一定の成果が出たので、おおむね順調であると言える. その自然な延長線上にある「I 型 Painleve方程式の 2-パラメータ解の構成」に関する成果は申請時点では想定していなかったものであった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は他の Painleve 方程式についても 2-パラメータ解の構成に取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
Painleve方程式の2-パラメータ解に関する研究が、申請時点に想定していた内容と比べて大きく進展したので、研究計画を変更したことにより次年度使用額が生じた。次年度使用額は、今年度取り組むことができなかったクラスター代数の研究に対する経費とする予定である。
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