2016 Fiscal Year Research-status Report
フラクタル格子上の長距離浸透モデルに対するランダムグラフの構造の解明
Project/Area Number |
16K17615
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
三角 淳 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 助教 (70534048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 長距離浸透モデル / フラクタル格子 / ランダムグラフ / ランダムウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フラクタル格子上の長距離浸透モデルの性質について明らかにすることを目的としている。浸透モデル(パーコレーション)は相転移の確率モデルとして重要かつ基本的な問題であり、例えば正方格子や三角格子の上でのボンドパーコレ-ションなどについては著しく解明が進んでいる。本研究は、フラクタル格子の上で長距離浸透モデルを考えるという独自の着眼点からの問題に対して、研究代表者のこれまでの研究の延長線上で未解決課題の解明をさらに進めていくものである。本年度は、さまざまな形のフラクタル格子の上での長距離浸透モデルに対する、ランダムグラフの直径の評価について研究を行った。基本的なフラクタル格子として知られるpre-Sierpinski gasketの場合に対しては、既に調べられている。今回は、重要なフラクタル格子の一つであるpre-Sierpinski carpetを一般化したグラフとしてgeneralized pre-Sierpinski carpetを構成し、その上で対応する問題を考えた。グラフ上の遠く離れた点同士がランダムな辺で直接つながる確率が、非常に大きい場合、ある程度大きい場合、小さい場合のそれぞれに対して、pre-Sierpinski gasketの場合と同様の手法を適用することにより、ランダムグラフの直径の評価を得ることができた。また、pre-Sierpinski gasket上の長距離浸透モデルにおける、ランダムグラフ上のランダムウォークについても研究を行った。点同士がランダムな辺でつながる確率がある程度大きい場合に対して、ランダムウォークの混合時間の具体的なオーダーに関する研究成果を論文として投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長距離浸透モデルに対するランダムグラフの直径の評価を、従来の結果と比べてそれなりに幅広いフラクタル格子を含む形で一般化することができた。一方で、generalized pre-Sierpinski carpet以外のフラクタル格子の場合に対する考察など、完成度の点ではもう少し改良の余地もあるように思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまな形のフラクタル格子上の長距離浸透モデルに関して、本年度に得られたランダムグラフの直径の評価の改良・発展を行う。また、pre-Sierpinski gasket上の長距離浸透モデルに関して、ランダムな辺でつながる確率が小さい場合を中心に、ランダムグラフやその上のランダムウォークのより詳しい性質について研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
物品費に関しては、当初の見込みよりも安価で本年度の研究が進められたこと、旅費に関しては、本年度は学内の業務が特に多く、予定より出張の日程を短縮したことなどにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定額と繰越額をあわせて、次年度の研究を円滑に遂行するために使用する。次年度は、研究集会に参加するための出張を多く計画している。
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Research Products
(4 results)