2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K17619
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| Research Institution | Tokyo University of Science |
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Principal Investigator |
側島 基宏 東京理科大学, 理工学部数学科, 助教 (20760367)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 非有界な係数をもつ楕円型作用素 / 消散型波動方程式 / 非線形消散型波動方程式 / 藤田型熱方程式 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は，非有界な係数をもつ楕円型作用素の理論の構築であり，初年度は基礎理論の考察を主に行っていた．これについては，ポテンシャル論等で深く関連する考察が行われていて，現在本研究による研究成果と比較・精査を行っている．
また，応用の視点から考察している消散型波動方程式の研究では，対応する楕円型作用素である通常のラプラシアンを用いている．しかし，本研究による視点から「熱方程式のパラメータ付き自己相似解の構成」を行い，それを用いることで従来得られていた「重み付きエネルギー評価」に関して一定の研究成果を得た．
さらに，対応する非線形問題も考察し始めており，特殊な非線形項をもつ消散型波動方程式の解の最大存在時間の導出法を扱った．テスト関数法と呼ばれる方法を精査改良することに成功し，これまで難解かつ技巧的であった最大存在時間の導出法とは対照的な，簡潔かつ明快な手法を考案した．
この手法を導入して考察した2次元2次の臨界非線形項をもつ藤田型（熱）方程式の外部問題に対して，未解決であった解の爆発を示すことに成功し，解の最大存在時間が二重指数型になることを発見した．これは3次元以上の同種の問題では現れない現象である．この現象は2次元のブラウン運動の再帰性という確率論の性質を用いることで解釈可能で，それをエバンスポテンシャルというポテンシャル論の道具を用いることで証明される．このことから，楕円型作用素の研究にポテンシャル論・確率論的な手法を取り入れることが不可欠であることが分かった．
この他にも，テスト関数法による非線形波動方程式の解の爆発の問題についての研究もある程度の成果を得た．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は，非有界な係数をもつ楕円型作用素の理論的研究を行い，長い時間をかけて精査検討をしていたために計画よりも遅れがちになっていた．しかしながら，応用からの視点を多く取り入れるために取り組んだ消散型波動方程式の研究（若杉勇太氏との共同研究）を通して「パラメータつき自己相似解」を用いた解析法を提案することができている．さらに非線形波動方程式の研究（池田正弘氏との共同研究）では，「パラメータ付き自己相似解」を用いた「テスト関数法」を改良した．
従って，従来想定していたよりもはるかに多くの問題に対する見識を得ることができた．
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| Strategy for Future Research Activity |
現在本課題で行っているのは，非有界な係数をもつ楕円型作用素による強連続半群の生成についての精査と，イタリアのG.Metafune氏，C.Spina氏，L.Negro氏との臨界型Rellich不等式とそれに対応するCarderon-Zygmund型の不等式の研究である．これらの研究を完結させるために，もう一度イタリアに渡航し，研究成果の精査・論文作成を行っていく予定である．
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| Causes of Carryover |
昨年度までに得られた研究成果と、別分野の既存の結果との精査を行うために少しだけ研究機関を延長している。また、昨年度中旬にUniversity of Salento(イタリア)に出張した際、以前得られていたRellich不等式の精密化の話題に取り組んだ。その結果、同不等式の臨界の場合についての新しい視点を得た。これについてさらに議論を深めるためにUniversity of Salentoに本年度も出張を計画している。
また、上記の研究成果を学会発表を行っていく。
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