2019 Fiscal Year Research-status Report
曲率流の三相境界問題とFast Diffusion 方程式の研究
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16K17634
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
下條 昌彦 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (40588779)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 特異性 / 伝播現象 / 対数拡散方程式 / 進行波 / 特異・被食捕食系 / 反応拡散方程式 / 非局所SIRモデルの伝播現象 / 多様体上の爆発問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fast-Diffusion方程式の研究を推進すると共に,非標準的な拡散や空間の歪みからくる非一様拡散に付随する反応拡散方程式について研究した.具体的には,生態学の特異・被食捕食モデルや非局所拡散項をもつSIRモデルの伝播現象,多様体上での燃焼現象を記述する半線形放物型方程式の爆発問題を研究した. 1.Jong-Shenq Guo教授(淡江大学),Amy Poh AiLing 氏(明治大学)と空間非局所的な拡散項をもつSIR感染症モデルに対するコーシー問題の解の広がり方の伝播速度を特徴づけた.投稿した論文は受理された. 2.Jong-Shenq Guo教授(淡江大学), Yu-Shuo-Chen氏(淡江大学)と特異性をもつ被食・捕食モデルに対する反応拡散方程式のコーシー問題の解の広がり方の伝播速度を導いた.さらに進行波解の存在,非存在の証明に成功した.投稿した論文は受理された. 3.Amy Poh AiLing 氏(明治大学)との共同研究である,双曲空間上での半線形熱方程式の爆発問題に関する研究論文が本掲載された.準線形熱方程式の空間減衰しない解が全体爆発することを証明した研究論文が本掲載された. 4.柳田英二教授(東京工業大学),物部治徳准教授(岡山大学),松澤寛准教授(沼津高専)とmonostable型やbistable型の非線形項を加えた対数拡散方程式の研究を継続してる.単調なフロント進行波やパルス進行波の存在や安定性に関する計算を行なっている.通常の半線形拡散方程式の場合と異なり,解の無限遠方でのフラックス条件に依存し,多様な解のダイナミクスが現れることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Monostable型やbistable型の非線形項を加えた対数拡散方程式の単調な進行波の漸近安定性に関する研究は現段階では完結はしていないが,単調な進行波の安定性に関する研究はひと段落した.関連する問題でも,様々な進展があった.たとえばパルス波のダイナミクスに関しても重要な情報が得られた.申請した当初に予定していた非等方性のある媒質上での曲率流の伝播現象や特異性解析に代わり,関連性のある問題として,数理生物学の伝播現象や特異性の伝播,多様体上での爆発問題に関する研究が大きく進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.Monostable型やbistable型の非線形項を加えた対数拡散方程式の単調な進行波の漸近安定性に関する研究を完成させる. 2.特異被食・捕食連立反応拡散系の研究では進行波解や周期的進行波の存在に関する結果を得た.さらに解の伝播速度の詳細な計算結果に成功し,現在は解の詳細な形状について計算を継続中である.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大のため,3月に招待されていた台湾での国際研究会への参加,および東京(日本大学)での日本数学会が中止となり,これらの出張が取りやめになった.さらに申請書作成時に最終年度で計画していた中国(上海)への研究打ち合わせも延期にしたため.
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Research Products
(14 results)