2019 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド力学系としての二足歩行の吸引領域の形成メカニズムに注目した解析
Project/Area Number |
16K17638
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大林 一平 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (30583455)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 応用数学 / 計算トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度のこの研究課題に関する結果としては Ippei Obayashi, Michio Yoshiwaki. Field choice problem in persistent homology, https://arxiv.org/abs/1911.11350 が挙げられる.この結果はパーシステントホモロジーにおける「係数体の選択問題」に関係するものである.パーシステントホモロジーはデータの形の情報を「ホモロジー」という数学の道具を使って抽出するツールである.この計算の前にあらかじめ決めておくパラメータとして「係数体」がある.この結果ではこの係数体の取り方がパーシステントホモロジーの計算結果に与える影響について解析した.特に影響を「与えない」条件を与え,それを効率的に計算機上で判定するアルゴリズムを提唱した.またこのアルゴリズムを実装し,ランダムな入力データに対して適用することでどの程度の頻度でこの係数体の取り方が計算結果に影響するか計算機実験を行った.実験結果としてはデータの空間の次元が重要で,3次元データは影響を与える確率が非常に低く,高次元データは高いという結果を得た.これは数学的な直感にも合う(高次元のほうが複雑な構造を作り出しやすい)結果である.一方実用的には3次元データを扱う機会も多くその場合は問題があまり起きないことをこの結果は示唆している.数学的には完全系列やスミス標準形といった標準的な数学的手法を用いている. この結果はパーシステントホモロジーの計算に関する実用上の問題を標準的な数学的手法で解決し,実際に使えるアルゴリズムを実装し,数値実験をする所までやったのが評価すべき点である. その他,パーシステントホモロジーの概要と材料科学への応用に関する解説論文の執筆なども行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度以降,研究の方向性を計算トポロジー関連に変更したのが有効だった(これは前年度の進捗状況に書いたのと同じであるが,この方向性でうまく進んでいる).
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究実績概要に述べた結果は現在プレプリントとして公開されている.最近この論文がとある論文誌にrejectされたので,論文を改良してacceptを目指す.二足歩行に関しては共同研究者の学生と進めている研究が形になってきたのでこれを進めていきたい.
|
Causes of Carryover |
COVID-19の流行による出張の中止などで次年度使用額が生じた. 今年度はまだ投稿中の論文が採択されたならそのAPCに使うことなどを予定しているが,2020年度は年度内は出張が難しそうなので返金も考慮する.
|
Research Products
(3 results)