2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17646
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
土屋 翔一 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (10647564)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Halin graph / 平面グラフ / HIST / fullerene graph |
Outline of Annual Research Achievements |
「どのようなグラフクラスで全域Halin graphの存在を保証できるか.」という問題に対して,前年度までの研究で5-連結平面三角形分割の場合は,全域Halin graphを持たない無限系列が存在することが分かった.平成29年度は,この問題に対して肯定的な解を得るため,禁止部分グラフ条件に着目して研究を進めた結果,3-連結グラフの場合,4頂点のスターグラフと5頂点の道グラフを部分構造として持たないことを仮定すれば, 全域Halin graphの存在が保証できることが分かった.この成果が得られたことにより,平面性を仮定しないグラフクラスで全域Halin graphの存在を保証するための手法を確立することもできた.この手法を活用すれば,新たなグラフクラスで全域Halin graphの存在を保証する定理が得られる可能性が高いと考えている.
一方,全域Halin graphを持つための必要条件としてハミルトン連結性が知られている.前年度までの研究で,平面グラフにおいては,これらの性質には本質的な差があること(例えば,4-連結平面三角形分割はハミルトン連結であるが,全域Halin graphを持たないなど)が知られていたが,禁止部分グラフ条件においても,この2つの性質には本質的に差があることが分かった.
加えて,fullerene graphにおける条件付き完全マッチングを保証する定理やeven [2, b]-factorの存在を保証するための次数条件を与える定理なども得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全域Halin graphの存在を保証する定理を得ることは,本研究の目的の1つであったが,これを達成することができた.この背景には,前年度までの研究で判明していた,「全域Halin graphを持つ」という性質に対するオブストラクションの発見があり,これによって禁止部分グラフの構造を限定する作業が容易になった.また,今回の成果にともない,全域Halin graphの存在を保証するための新しい手法を確立することにも成功した.この手法を応用すれば,さらに広いグラフクラスで全域Halin graphの存在が保証できることが予想できるため,次年度以降の研究につながる成果が得られたと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
3-連結グラフにおいて,4頂点のスターグラフと5頂点の道グラフを部分構造として持たないことを仮定すれば, 全域Halin graphの存在が保証できるという定理を証明した際に,仮定をある程度緩和できる可能性があることもわかった.具体的には,制限する構造のうち,4頂点のスターグラフのスターグラフは置き換えられないが,5頂点の道グラフは辺を1本追加したグラフに置き換えられる可能性があることが示せた.したがって,まずは今回得られた定理を拡張することを検討していく.
また,Halin graphの研究の進展にともない,関連のあるhomeomorphically irreducible spanning tree (HIST)やfullerene graphの研究も進展しているので,今後も相互に影響を及ぼしあう研究対象の調査や研究を継続していく.
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Causes of Carryover |
航空運賃や為替レートは変動するため,海外旅費を正確に見積もることは困難である.この変動により,当初の予定よりも国際学会参加のための諸費用が低く収まったため,次年度使用額が生じた. この308,121円は,2018年度に予定している化学分野の国際学会に参加するための諸費用に充てることを計画している.
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