2017 Fiscal Year Research-status Report
リーマン多様体上の共役勾配法の進展および諸分野における大規模問題への応用
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16K17647
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
佐藤 寛之 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80734433)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 最適化 / アルゴリズム / 応用数学 / 数理工学 / 幾何学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
制御理論分野において2つの話題を扱い，いずれも論文が学術誌に掲載された．一方では，システム同定法の一つである予測誤差法において，同定すべきシステム行列を，ユークリッド空間の積多様体上の点，および，積多様体のある群作用によるリーマン商多様体上の点と見なすことで，幾何学的な共役勾配法に基づくアルゴリズムを提案した．特に，上記の積多様体と商多様体の上での最急降下法が数値的に等価なアルゴリズムになる一方で，本研究課題の主題である共役勾配法は，2つの多様体上で異なるアルゴリズムとなることを明らかにし，商多様体上の共役勾配法の優位性を数値的に確認した．これによって，離散時間システムの新しい同定法が得られたことになる．他方では，昨年度の研究に引き続き，大規模なシステムに対して適切な制御器を設計する問題を扱った．今回はこの問題を，正定値対称行列全体からなる多様体と2つのユークリッド空間の積多様体上の最適化問題として定式化し，信頼領域法に基づく解法アルゴリズムを提案した．最適化問題の性質を解析したことにより，大規模な問題を解く必要がある際には，共役勾配法を適用することが可能となった．
また，主成分分析において現れる対称行列の同時対角化問題をシュティーフェル多様体上の最適化問題として定式化し，その幾何学を調べることで信頼領域法に基づくアルゴリズムを提案した論文が学術誌に掲載された．この問題についても，大規模な最適化計算を行う場合には共役勾配法を適用することができる．
さらに，一般化シュティーフェル多様体上の共役勾配法を含む最適化において必要な概念であるレトラクションの計算法について，コレスキーQR分解に基づく効果的なアルゴリズムに関する論文を学術誌に投稿する準備段階で，数値的により安定な計算方法を見つけることに成功した．この発見を含む結果を間もなく投稿予定である．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた通り，共役勾配法の応用研究については順調に研究が進んでいる．特に，制御分野における応用についての研究については，「今後の研究の推進方策」でも述べるように，今後に繋がる結果が得られている．また，リーマン多様体上の新たな共役勾配法の提案についての結果も，当該論文を投稿予定である．
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| Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べた離散時間システムの同定法についての研究を応用することで，対称性をもつ連続時間システムの同定法を提案することができる見込みである．このようなシステムは多種のネットワークシステムを表現できるため，その同定は重要な研究テーマである．具体的な推進方策としては，同定対象である連続時間システムに対応する離散時間システムを考え，真の出力とモデルによる出力の差の2乗和を，正定値対称行列全体の多様体と2つのユークリッド空間の積多様体上で最小化する問題として定式化し，その幾何学を調べる．特に，問題が大規模である場合に共役勾配法を適用し，提案手法の有効性を検証する．
また，ユークリッド空間における最新の共役勾配法の研究を調査し，多様体上の共役勾配法の理論のさらなる発展を目指す．さらに，こうした幾何学的な共役勾配法のポートフォリオ最適化などへの応用についても検討する．
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| Causes of Carryover |
リーマン多様体上の多種の共役勾配法を含む，一般的な結果についての論文の投稿を予定しているが，平成29年度に論文が完成しなかったため，これに係る未使用額が生じた．このため，未使用額は当該論文に係る英文校正などの経費に充てることとしたい．
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