2016 Fiscal Year Research-status Report
確率分布にギャップ構造をもつ量子ウォークの長時間極限定理の研究
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16K17648
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
町田 拓也 日本大学, 生産工学部, 助教 (20637144)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 量子ウォーク / 極限分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
出版物は、著書1本(ひとつの章を執筆)と論文2本(単著2本)であった。著書は国際科学出版社からの出版であった。論文はいずれも査読付き研究論文であり、国際雑誌から出版された。いずれも量子ウォークの確率分布が、長時間極限においてどのように振舞うかを記述する数学的な解析結果であった。Quantum Information and Computation, Vol.16 No.5&6, pp.515-529 (2016)では、一次元格子上を運動する三状態量子ウォークの確率分布を解析して、長時間極限分布を導出した。その結果、その量子ウォークの確率分布には、ギャップ構造と局在化が同時に生じることがわかった。一方、Quantum Information Processing, Vol.15, No.8, pp. 3101-3119 (2016)では、一次元半直線上で定義される二状態量子ウォークの確率分布の具体的な表現形を導出することに成功した。さらに、フーリエ解析を用いることで、長時間極限分布も計算することができた。この研究では、量子ウォークに特殊な初期状態を与えることで、半直線上の量子ウォークが、全直線上の量子ウォークに焼きなおせることも証明されている。研究発表は、国内で4回行った(招待講演3回、一般講演1回)。いずれも、量子ウォークに関連した研究成果の発表であった。また、University of California, Berkeleyの数学科を訪問して、量子ウォークの研究も行っているProf. F. Grunbaum Albertoと、お互いの研究成果の報告を行うと同時に、量子ウォークの研究議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目標とするギャップ構造を確率分布にもつような量子ウォークのモデルを発見することができた(Quantum Information and Computation, Vol.16 No.5&6, pp.515-529 (2016))。数学的に厳密な解析にも成功しており、長時間極限分布の導出にも成功した。さらに半直線上で定義される量子ウォークの研究にも挑戦し、その結果として確率分布の精緻な表現形を得ることができた(Quantum Information Processing, Vol.15, No.8, pp. 3101-3119 (2016))。国際科学雑誌から出版される本における量子ウォークの章の執筆、量子情報系の国際雑誌から論文2本の出版、そして、招待講演3件と一般講演1件により、研究成果の発表も順調に行われた。したがって、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続きギャップ構造を確率分布にもつ量子ウォークの発見を行うために、モデルの構築を行っていく。その際、量子ウォークの背景にある物理学的なモデルも考慮するために、量子物理学の文献を調べつつ、モデルの構成を行うことにする。そして、各モデルに対して、確率分布の数値計算を実行して、その振舞いを観察する。数値計算は計算機上でプログラミングによって実行する。量子ウォーカーの空間分布にギャップが存在するようなモデルを見つけた後は、数学的な厳密解を計算する。計算手法は、フーリエ解析による手計算であるが、同時にコンピュータによる数式処理ソフトも併用しつつ解析を進める。また、本研究に関してアドバイスを得るために、量子ウォークを専門とする周辺の研究者との議論も行う。研究の進捗状況や成果を発表するために、国内研究会、国際会議などにも参加して、発表を行う。得られた成果は、論文にまとめることで国際雑誌から発表したり、ホームページ上で公開するなどして、周知を行うことにする。
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Causes of Carryover |
計算機の購入を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機の購入に使用する。
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[Presentation] 量子ウォーク2016
Author(s)
町田拓也
Organizer
日本大学生産工学部学術講演会
Place of Presentation
日本大学(千葉県習志野市)
Year and Date
2016-12-03 – 2016-12-03
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