2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17668
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中村 航 福岡大学, 理学部, 助教 (60533544)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 超新星 / 元素合成 / 数値シミュレーション / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、セルフコンシステントな超新星モデルに基づいた爆発的元素合成の計算を行うことによって、銀河化学進化のモデル構築に応用可能な規模の超新星元素合成データの作成を目的とする。その初段階として、ニュートリノによって駆動される重力崩壊型超新星の2次元数値計算を実行した。Isotoropic Diffusion Source Approximation (IDSA)と呼ばれる先進的な近似法を用いてニュートリノ輸送を解くことによって、親星の重力崩壊から原子中性子星と衝撃波の形成・ニュートリノ放射・衝撃波の膨張にともなう外層の加熱に至る一連の過程を、ニュートリノ輸送を考慮した空間2次元数値計算で追うことを可能とした。 親星としてWoosley, Heger, & Weaver (2002) の太陽金属量を持つ11.2-28太陽質量モデル10個を採用し、バウンス後約10秒間にわたる長時間進化を計算した。得られたデータを用いて星内部の追跡粒子の軌道をラグランジュ的に追跡し、各粒子の密度・温度・電子比と、照射されるニュートリノ光度・エネルギーを調べた。それと並行して核反応ネットワークコードを作成した。計算した10モデルのうち11.2太陽質量と17太陽質量の2モデルに対して核反応ネットワーク計算を実行し、とくに陽子過剰核であるモリブデンとルテニウムに注目して解析したところ、それぞれ異なる環境で生成されていることがわかった。得られた組成比は、太陽系組成と興味深い一致を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超新星爆発の数値計算を予定通り実行し、10個の親星モデルに対して空間2次元の長時間計算を完了することができた。さらに、次年度に予定していた核反応ネットワーク計算を一部先行して実行し、2モデルに対して解析を完了することができた。結果を論文も投稿済みであり、国際会議で発表をおこなった。概ね順調に進んでいると言える。一部は申請時に想定していた以上のペースで結果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も残りの超新星計算の結果に対して核反応計算を実行し、その解析をおこなう。すでに計算コードは安定に動いており解析方法も確立したので、問題なく進行できると考えている。
|
Causes of Carryover |
計算を順調に遂行することができたので、結果をいち早く公表するため国際会議等への出席を優先した。そのため、ハードディスクを本年度ではなく次年度に購入することに変更した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は解析データを保管するためのハードディスクを購入する。研究成果を発表し、また国内外の研究者と広く議論するため、国内および国外旅費を使用する。
|