2016 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギー宇宙線観測および加速器実験に基くブラックホール暗黒物質シナリオの検証
Project/Area Number |
16K17675
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
仙洞田 雄一 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (80606111)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ブラックホール / 暗黒物質 / 宇宙線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の最終目標の一つは反陽子宇宙線の観測データからブラックホール暗黒物質を探査するないしその存在量の上限を定めることであるが、そのためには暗黒物質として銀河ハローに存在するブラックホールが放射する反陽子の量と、標準的な宇宙物理学的過程である宇宙線陽子およびヘリウムと星間物質との衝突で生成される反陽子の量を、いずれも可能な限り精確に推定する必要がある。本年度はこれらのための数値計算コード各部の開発を進めた。 まずブラックホールから放射される反陽子の計算のために、大型ハドロン衝突加速器での最近の実験に適合するモンテカルロ計算コードPYTHIAの最新版を用い、一次粒子として放射されるクォーク、レプトン、ゲージ粒子、ヒッグス粒子のそれぞれから枝分かれして最終的に生成される反陽子のエネルギースペクトルを求めるコードを作成した。とくにブラックホールの温度ごとにスペクトルを計算することが可能になった。 また並行して、標準的な反陽子の銀河円盤内での生成量をより精確に見積もるために、宇宙線陽子と星間ガスの衝突で生じる反陽子の生成断面積の計算に最近の実験結果に基づくフィッティングを取り入れたコードを作成した。 以上の反陽子生成に関する計算コードに加え、銀河内での反陽子の拡散伝搬を解いて地球への飛来量を求める部分についても開発を進め、拡散係数などの物理パラメーターとして最近の同種の研究で用いられているいくつかの標準的な組み合わせを組み込んだコードを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では初年度はブラックホールからの粒子放射の計算に集中することとしており、そのためのモンテカルロ計算の部分は予定通り完成した。一方、他の研究者らの動向を見て計画を変更し、次年度に着手する予定だった標準的過程での反陽子の生成と伝搬の計算も並行して進めることとした。これらの達成状況を総合すると、現状での進捗は計画全体に照らして順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度から継続して、ブラックホールからの粒子放射と標準過程での宇宙線の生成および伝搬の計算のための各コード開発を並行して進める。
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Causes of Carryover |
数値計算用のコンピューターに接続して用いる装置を購入する予定を立てていたが、発売価格が予期していたものより若干高くなったために予算残額が不足したので、次年度に購入を先送りすることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の経費で不足を補い、予定していた物品の購入にあてる。
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