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2017 Fiscal Year Research-status Report

気球を用いて雷雲内部の電子加速のメカニズムを探る

Research Project

Project/Area Number 16K17682
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

加藤 陽  東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (20771611)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords雷雲ガンマ線 / 電子加速 / 放射線検出器
Outline of Annual Research Achievements

雷雲では、その内部に存在する強い電場によって大気中の電子が相対論的速度まで加速されていると考えられている。しかし雷雲内部の直接観測は非常に難しいため、雷雲中の電子加速現象のメカニズムはほとんど明らかになっていない。本研究では、気球を使って雷雲内部の電場と加速された電子を同時に観測することで、雷雲内電場による電子の加速が実際に起きていることを確認し、さらに電子が加速されるメカニズムや電子加速現象と雷発生との関連を解明することを目指している。一年目となる平成28年度には、プラスチックシンチレータを用いた放射線検出器およびデータ送受信用のGPSラジオゾンデを組み合わせて気球搭載型検出器を独自に開発した。雷雲内部でも正常にデータを取得できるよう、耐水及び耐冷の対策を施した上で、複数個の検出器を製作し、動作テストも完了した。
二年目となる平成29年度には、一年目に完成させた気球搭載型検出器の第1回打ち上げおよび観測を実施した。観測実施場所については、プロジェクト開始当初に想定していた場所での気球打ち上げが困難になったため計画の練り直しが必要となったが、最終的に東京大学柏キャンパスでの放球が許可されたことから、平成29年8月19日に第1回の観測を実施することができた。この日は関東地方で広く雷雲が発生しており、雷雲中のデータ測定が期待されたが、実際には雷雲の通過地点が放球場所から少しそれてしまったため、雷雲中の電子加速の証拠を掴むことはできなかった。しかし、荒天時の放球から大気中でのデータ取得、そして地上受信機への転送まで検出器が正しく動作することを確認できたことは、今後に向けて大きな収穫であった。
平成30年度には引き続き雷雲発生・通過時を狙って気球観測を実施し、雷雲中で電子が加速されている証拠を直接つかむことを目指す。また、並行して気球に搭載可能な電場計の開発も進めていく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度には、当初計画していた気球搭載型検出器の開発を完了し、雷雲内部という過酷な環境での観測に必要な耐水・耐冷性能も付加した上で、地上でのデータ取得および無線データ送受信テストもクリアした。さらに平成29年度には、夏季雷シーズン中の実施を目指していた第1回の気球打ち上げ・観測を8月19日に実施することができた。この観測では、雷雲の通過ルートが観測地点の真上を外れたために雷雲中の電子加速の証拠を直接観測することはできなかったが、開発した検出器が大気中でも正しく動作することを確認できたことは今後に向けて大きな一歩となった。
一方で、雷雲が観測場所の真上を通過する頻度の少なさから2回目以降の観測チャンスには恵まれず、プロジェクト三年目となる平成30年度の夏季雷シーズンに引き続き雷雲内部の観測を目指すこととなった。平成29年度には観測実施場所を当初予定していた場所から変更する必要が生じたために、代替打ち上げ場所の選定および打ち上げ許可の取得に時間を要し、結局夏季雷シーズン中に一度しか気球を打ち上げることができなかった。しかしながら、平成30年度にはすでに新しい観測地点である東京大学柏キャンパスにおいて観測態勢を整えていることから、より多くの雷雲観測の機会に遭遇できる可能性が高い。
以上のことから、プロジェクト全体としてはおおむね順調に進展していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

すでに気球搭載型検出器の開発は完了し、平成29年度には第1回の打ち上げも実施して、検出器が正常に動作することを確認できていることから、平成30年度には引き続き雷雲が観測地点の真上を通過する機会を待って気球の打ち上げを実施する。現在観測態勢を整えている東京大学柏キャンパスで、夏季雷シーズンに2~3回の打ち上げを実施したいと考えている。狙い通りに雷雲内部でのデータ取得に成功した場合には、地上で受信したデータを解析し、プラスチックシンチレータの鉛直方向と水平方向のコインシデンス計数上昇の差から電子の加速現象が雷雲中で実際に起きている証拠をつかむことを目指す。また、加速電子のフラックス測定だけでなく電場の同時測定によってさらに雷雲内部の電子加速が詳細に理解できることから、気球に搭載可能な電場計の開発も引き続き並行して進める。
一方、1ヶ所のみの観測地点では雷雲が真上を通過する機会が限られてしまうため、より観測のチャンスを広げるために新しい観測地点を探すことも検討している。

Causes of Carryover

当初予定していた気球打ち上げ地点での観測が困難になったため新しい観測地点の選定をやり直したが、その過程で時間を要した。結果として、2回目以降の観測は平成30年度の夏季雷シーズン中に行うことになったため、一部の研究費を次年度使用額として利用することとした。用途は主に観測地点への旅費と国際会議での発表に使用することを予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] トラック積載型検出器による乗鞍での雷雲ガンマ線観測2018

    • Author(s)
      加藤陽
    • Organizer
      「雷雲と宇宙線の相互作用に伴う高エネルギー現象」研究会
  • [Presentation] 気象用ラジオゾンデによる雷雲中の電子の観測2018

    • Author(s)
      蓑輪眞
    • Organizer
      「雷雲と宇宙線の相互作用に伴う高エネルギー現象」研究会
  • [Presentation] Observation of thundercloud radiation bursts using segmented plastic scintillators2018

    • Author(s)
      加藤陽
    • Organizer
      EGU2018
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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