2016 Fiscal Year Research-status Report
LHC,RHICでの陽子-陽子衝突を用いた陽子-パイ中間子相互作用の研究
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16K17692
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
毛受 弘彰 名古屋大学, 理学研究科, 特任助教 (10447849)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | LHC / ハドロン相互作用 / 宇宙線空気シャワー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は概ね研究計画通り研究が進んだ。 計算機を2台購入(CPU数合計64コア)して、既存のCPUクラスに組み込んで陽子ーパイ衝突のためのモンテカルロ・シミュレーションを実行できる環境を構築した。そこでイベントジェネレータを使って研究に必要なモンテカルロデータ・セットを生成した。 LHCf-ATLAS共同解析はATLAS実験側の担当者が計画段階から変更された。しかし、共同解析は順調に進んでおり、ATLASとLHCf実験でデータ交換およびデータ照合が完了して解析環境を構築することができた。また陽子-パイ中間子衝突の解析に進む前に、まずは練習としてシンプルな解析としてDiffractive事象の解析を進めている。このシミュレーション研究の結果は論文に掲載済みである。この解析結果は平成29年度初頭に完了して、最初の陽子ー陽子衝突データを用いたLHCf-ATLAS共同実験の結果として論文投稿する予定である。この解析から得られたノウハウをもとにして、陽子ーパイ中間子の衝突断面積の解析をATLAS実験の協力者と共に進めていく予定である。 また、宇宙線空気シャワーで用いるハドロン相互作用モデル作成の第一人者であるSergey Ostapchenko氏を2週間招聘して、陽子ーパイ中間子相互作用の測定方法や期待される成果について議論し、具体的なデータ解析手法の指針を得ることができた。また、陽子ーパイ中間子の測定以外にも、ATLAS-LHCfの共同解析によって可能な測定について議論することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに概ね順調に進展している。 計画からATLAS実験の担当者が変更になったり、陽子-π中間子衝突のシミュレーション作成の協力者が計画と変更になった。これらは主に相手の都合によるものである。変更になった協力者とも友好な関係を持つことができている。建設的な議論ができており、まずはシンプルな解析であるDiffractive事象解析を進めることとなった。この結果はすでに論文掲載済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り進めていく。 平成29年度初頭にRHICにおける陽子-陽子測定実験に参加する。ここで低いエネルギーでの陽子ーπ中間子衝突の測定が可能となる。この結果とLHCでの測定結果を比較することで、より広いエネルギー範囲での測定が可能となる。 LHCf-ATLAS共同解析の基礎準備は平成28年度に完了した。これからは実際にデータ解析を行って、陽子ーπ中間子の衝突断面積の算出を行っていく。
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Causes of Carryover |
平成28年度の物品費のうち、少額の雑品購入が多くなった。これは納入したコンピュータの設定に関係する機器が必要になったためと、平成29年度のBNLでの測定準備に必要な消耗品を購入したためである。そのため、当初予定と約2万5千円の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額分は今年度のBNL測定の準備に使用する。具体的には、測定時に必要なケーブルの購入に当てる。
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