2020 Fiscal Year Research-status Report
低エネルギー普遍性と有効場の理論を用いた閾値近傍ハドロン構造の解明
Project/Area Number |
16K17694
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
兵藤 哲雄 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (60539823)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハドロン分光学 / ストレンジバリオン / 共鳴状態 / Lambda(1405) |
Outline of Annual Research Achievements |
sクォークは軽いu,dクォークと重いc,bクォークの中間の質量を持っており、sクォークを含むハドロンは独特の役割をはたしている。近年では新規な手法を用いた精密実験とハドロン共鳴を体系的に記述する理論の整備によって、sクォークを含むバリオン分光学に関し大きな進展があった。その結果、ストレンジバリオンの基本的な性質、固有状態の質量と崩壊幅に対応する極の位置、スピン・パリティ、崩壊分岐比などが精度良く決定された。これを受けてParticle Data GroupのリストにはLambda(1380)やOmega(2012)などの新粒子が新たに記載されることとなり、多くの注目を集めている。このような分光学の進展に刺激され、ストレンジバリオンが単純な3クォーク状態を超えたエキゾチックな内部構造を持つ可能性の議論が活発化している。この現状をまとめた総説論文として、QCDの対称性と散乱理論と共鳴状態の基礎、およびハドロンのエキゾチックな内部構造の議論を解説した。特に、ストレンジバリオンの不安定粒子である性質、つまりハドロン散乱中の共鳴状態としての性質に焦点を当て、理論的な性質を解説した。いくつかのバリオン共鳴、Lambda(1405), Lambda(1670), Xi(1620), Xi(1690), and Omega(2012)について理論と実験の現状をまとめた。またオンラインの国際研究会、セミナーなどをで研究成果発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はオンライン研究会などが昨年度に比べ充実しており、多くの機会で成果発表を行ない、研究者と情報交換をうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン研究会などへの参加を継続して行い、対面研究会の機会が生じてくれば積極的に参加して情報発信を行う。
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Causes of Carryover |
共同研究先のドイツのミュンヘン工科大学、中国の理論物理学研究所(ITP)へ短期滞在を計画していたが、新型コロナウイルス肺炎の影響により渡航を中止した。
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