2017 Fiscal Year Research-status Report
核子多体系におけるカイラル有効場理論3核子力の役割の究明
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16K17698
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蓑茂 工将 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (50725059)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 3核子力 / 核子ノックアウト反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、カイラル有効場理論の2核子力、3核子力に基づいて構築した有効核力を用いて陽子ノックアウト反応の系統的計算を行い、3核子力効果が強く寄与する入射エネルギーや運動学的条件を探った。40Caに深く束縛された陽子のノックアウト反応では、密度が比較的高い原子核内部で反応が強く起こるため、3核子力効果が大きく寄与することがわかった。こうして、陽子ノックアウト反応の無偏極3重微分断面積において3核子力効果を検証できる可能性を示した。さらに、その解析において有効核力の理論的不定性が小さいことを同時に示した。この成果は、論文としてPhysical Review C誌に掲載された。 ノックアウト反応での3核子力効果の検証をより確かなものとするため、偏極ビームを用いたスピン観測量である偏極分解能に着目した。40Ca標的の陽子ノックアウト反応の偏極分解能を解析した結果、偏極分解能に対しては3核子力効果が小さいことがわかった。このメカニズムを理解するため、今後は有効核力の中心力成分、スピン軌道力成分、テンソル力成分を詳細に調べる必要がある。 ノックアウト反応とは別のアプローチとなる核-核散乱での3核子力効果の検証へ向けて、有効核力計算における二重Fermi球を仮定したPauli排他効果について引き続き検討を行った。 また、既存の有効核力を用いて核子-核弾性散乱の角分布と全反応断面積を網羅的に解析し、有効核力に基づく微視的光学ポテンシャルの適用範囲を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに進み、発表や査読論文として成果を公表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、二重Fermi球問題を取り扱い新たな有効核力を構築し、主として核-核散乱の解析を行う。その一方で、ノックアウト反応のスピン観測量における3核子力効果について、そのメカニズムの分析を進める。
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Causes of Carryover |
足の怪我により、一部の出張を取り止め旅費使用計画に変更が生じた。また、次年度から主研究拠点が海外となることにより旅費の増大が見込まれるため、物品費および旅費使用計画を変更せざるを得なかった。
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Research Products
(9 results)