2020 Fiscal Year Research-status Report
微分重力結合した素粒子模型とインフレーション宇宙の融合的研究
Project/Area Number |
16K17712
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 悠貴 群馬工業高等専門学校, 一般教科(自然), 准教授 (80644731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙物理(理論) / 初期宇宙 / インフレーション宇宙 / 原始重力波 / ダークマター / 非可換ゲージ場 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフレーション宇宙において、非可換ゲージ場が非自明な一様等方解を持つことが知られている。このような非可換ゲージ場が存在しアクシオン場と相互作用する宇宙では、インフレーション中にテンソル型揺らぎが生成される。このテンソル型揺らぎは重力波揺らぎに転換され、宇宙マイクロ波背景放射のBモード偏光成分として将来的に観測もしくはその上限値が制限されることが期待されている。 本研究では、インフレーション宇宙に一様等方な非可換ゲージ場が存在すると仮定し、シフト対称性をもつアクシオン場の低エネルギー有効理論を考えた。前年度に構築した理論モデルをより一般化し、多くの場合を含むように拡張した。このモデルおいて、アクシオン場と非可換ゲージ場の相互作用を通して重力波揺らぎが急激に生成されることを定量的に示した。この重力波揺らぎは一方のヘリシティ成分がもう一方と非対称に成長し、かつ非ガウス統計性を持つ。同時に生成される曲率揺らぎのスペクトルとの割合に対する下限値が 0.5% であることを明らかにした。 また、このモデルに右手巻きニュートリノを含むように理論を拡張すると、バリオン生成の起源とダークマターの起源を同時に説明するパラメータ領域が存在することを示した。 宇宙マイクロ波背景放射のBモード偏光成分の観測は、今後10年で飛躍的に進むことが期待されており、本研究で構築したモデルの精緻な検証をすることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究実施計画に基づき、インフレーション宇宙における素粒子標準模型を超えた枠組みの非可換ゲージ場と相互作用する右手巻きニュートリノがダークマターとして振舞うことができるか、定量的に調べることを目標とした。高階の微分相互作用を含む、ポテンシャル項に依らないインフレーション模型を構築することに成功し、これをさらに拡張した。一部の結果は研究論文として発表し、審査中である。残りの結果は発表準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上述のインフレーション模型と物質の起源に関する研究を進めていく方針である。また、研究実績を国際研究会などで広く発表する予定であるが、新型コロナウイルス蔓延の影響で海外渡航はしばらくは困難であることが予想される。したがってオンライン研究会などで成果を発表し、対応する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延の影響で、海外渡航が制限されていたため。研究期間を1年間延長したことに伴い、本格的な国際共同研究を継続させる予定である。研究成果を発表する費用、ソフトウェアを含む計算機器の更新と渡航滞在費などに使用する予定である。
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