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2016 Fiscal Year Research-status Report

スピン・バレー結合した遷移金属ダイカルコゲナイドにおける実空間バレー状態の解明

Research Project

Project/Area Number 16K17730
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

町田 理  国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 特別研究員 (60570695)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywordsバレートロ二クス / スピントロ二クス / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 走査型トンネル顕微鏡
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,バレー自由度の実空間状態をスピン偏極及び従来型走査型トンネル顕微鏡を用いて直接可視化することを目的とし,バレー自由度に関連した実空間バレー分極とバレー磁気モーメントの実空間イメージングに挑戦するものである.当該年度では,本研究の準備段階として対象試料である3R-NbS2の波数空間における電子状態,スピン状態及び軌道状態を,従来型走査トンネル分光による準粒子干渉測定とその理論シミュレーションによって詳細に調べた.その結果,3R-NbS2においては,バレー自由度がスピン自由度だけでなく軌道自由度とも強く結合していることを実験的に証明することに成功した.この結果は,遷移金属ダイカルコゲナイドにおいて見られるバレー依存現象において,軌道自由度も重要な役割を演じているということを示唆している.また当初予定していた通り,バレー磁気モーメントを捉えるための磁場誘起バレーゼーマン効果の測定も試みた.このゼーマン効果の大きさは印加する外部磁場に比例するため,当該年度初旬にSTMにおける世界最大磁場が印加可能な17.5T-STMの開発を行いバレーゼーマン効果に適用した.しかしながら,得られたトンネルスペクトルに明瞭な変化は見られなかった.この要因として,3R-NbS2ではバレーゼーマン効果の大きさが理論で期待されるよりも非常に小さい可能性や,使用した試料が非常に多くの不純物を有していることに起因したトンネルスペクトルのエネルギーブロードニングが大きい可能性が示唆される.また,実空間バレー分極の可視化を目指したスピン偏極STM探針作成システムの構築については,予定していたほどまでは到達していないが,これに必要な部品等は全て揃った状況にある.次年度は純度の高い遷移金属ダイカルコゲナイド単層膜を用いたスピン偏極及び従来型STM測定を行う.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

前項目でも記述した様に,バレー磁気モーメント検出のため,強磁場下で誘起されるバレーゼーマン効果の測定を試みたが,得られたトンネルスペクトルに明瞭な磁場効果は見られなかった.この理由の一つとして,用いた試料の不純物量が非常に多いことが挙げられる.このため,純度の高い試料で再度実験を行う必要があり,当初の予定よりこの分遅れている.
またもう一つの手法であったスピン偏極STMによる測定については,それに必要な部品が全て揃ったが,使用している超強磁場STMの故障によりスピン偏極探針作成システムの構築が遅れてしまった.当初の予定では,当該年度中にスピン偏極探針作成システムの構築が終了しているはずであった.
これらの状況から判断し,本研究は当初の研究計画からやや遅れていると判断される.

Strategy for Future Research Activity

バレーゼーマン効果については,バレーゼーマンシフトが小さい為,トンネルスペクトルのエネルギーブロードニングを極力押さえる必要がある.このため,今後の方針として,(i)純度が高い遷移金属ダイカルコゲナイドの単層膜を資料として用いる,(ii)現在テスト段階にある希釈冷凍機STMを17.5Tクライオスタットに導入し超極低温(0.1K)-超強磁場(17.5T)における測定を行うことを予定している.
また,スピン偏極STMを用いた実空間バレー分極の可視化に関しては,当初の予定通り3R-NbS2と新たに作成した高純度の単層膜についても行う.

Causes of Carryover

スピン偏極探針作成のために購入した電子線加熱式超高真空エバポレータが当初の予定より安価だったため.次年度使用額が発生した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額が18,000円程度であるので,スピン偏極探針作成のための蒸着源であるCo棒を購入する予定である.

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 黒リンにおける準粒子干渉2017

    • Author(s)
      町田理
    • Organizer
      日本物理学会第72回年次大会
    • Place of Presentation
      大阪大学 (大阪府吹田市)
    • Year and Date
      2017-03-17 – 2017-03-21
  • [Presentation] 17.5T-強磁場極低温走査型トンネル顕微鏡の開発と評価2016

    • Author(s)
      町田理
    • Organizer
      日本物理学会2016年秋季大会
    • Place of Presentation
      金沢大学(石川県金沢市)
    • Year and Date
      2016-09-21 – 2016-09-24

URL: 

Published: 2018-01-16  

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