2018 Fiscal Year Annual Research Report
First-principle studies of superlattice systems of 5d pyrochlores
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16K17735
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
品岡 寛 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40773023)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 量子モンテカルロ法 / 場の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主に、前年度に発見した温度グリーン関数のコンパクトな表現の解明、動的平均場近似法に基づく第一原理計算パッケージDCoreの開発を行った。前者については、基底関数の高精度な計算結果をデータベースとして公開し、C++やPythonから利用できるオープンソースソフトウェアirbasisを公開した。また、2粒子グリーン関数の複雑な周波数構造を、同じ基底をもちいてコンパクトに表現できることを示した。この新しい表現では、逆温度に対して、データ量はいかなる冪よりも遅く増加する。一方、DCoreに、強相関化合物の実用計算に必要な機能実装を行った。具体的には、スピン軌道相互作用を考慮した計算、非共線磁化の計算機能を実装した。特に、スピンモーメントの計算機能、初期自己エネルギーの設定を可能にした。関連して、相互作用展開連続時間量子モンテカルロ法に基づくオープンソースソフトウェアALPS/CT-INTを開発した。GPLv3のライセンスのもので公開され、現在論文が審査中である。 研究期間全体を通して、強相関化合物の物性研究に有用な基盤技術が複数達成された。オープンソースソフトウェアとして公開された2つの量子不純物ソルバーは、国外でも利用されている。また、温度グリーン関数のコンパクトな表現は、低温での場の理論計算を高速化することを可能にする。DCoreは、プログラミングをすることなく、強相関化合物の動的平均場近似法による電子構造計算を可能にする先駆的なものである。以上の成果は、当初の目標を超えて、物性理論研究全体に波及効果をもたらす。
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