2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of magnetic resonance spectroscopy utilizing an optomechanically controlled microcantlever
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16K17749
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 英幸 神戸大学, 先端融合研究環, 助教 (10759989)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電子スピン共鳴 / 磁気トルク / カンチレバー / 表面応力センサー / メンブレン共振器 / 磁気共鳴力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、前年度改良した力検出型電子スピン共鳴(ESR)測定系に走査機構を組み込んだ、テラヘルツESR顕微鏡を試作した。マイクロカンチレバーの先端に、直径約40ミクロンの磁性体小球を接着し、試料表面上で動かすことで空間分解測定を試みた。しかし、磁性体小球から発せられる磁場勾配が想定よりも小さかったために、共鳴画像取得には至らなかった。一方で、ESRスペクトルとしては質の高いものが得られた。 磁性体を乗せたカンチレバーは磁場中で非線形なダイナミクスを示し、技術的に難しい面が多かったため、力センサーとして有望視されているメンブレン型デバイスを新たに導入した。まず、ガスセンシング用に市販されているシリコン製のピエゾ抵抗検出型メンブレンセンサー(厚み約5ミクロン)を用いた磁気トルク測定を行い、超伝導体の量子振動や、トルク検出型ESR測定に成功するなどの成果を得た。 続いて、窒化シリコンメンブレン(厚み100ナノメートル)をカンチレバーの代わりに用いる配置で力検出型ESR測定を行った。この効果は絶大で、カンチレバーを使う際に生じる、強磁場中での技術的困難が解消されたことで、非常に安定した測定が可能になった。特にゼロ磁場から15テスラまでシームレスなスペクトルを得られるようになり、電磁波透過法などの従来法と遜色ないレベルにまでスペクトルの質が改善した。また、力検出型測定では原理的に難しいと考えられる、磁性体試料の共鳴も非常に明瞭に観測された。これに関しては、詳細な解析から、共鳴に伴う発熱の効果が試料磁化変化として検出されるためであることが明らかになった。 研究期間全体を通して、当初狙っていたオプトメカニカルな効果を利用した検出原理の創出には至らなかった。しかし、結果的に他分野の知見が、実用的レベルで使える熱検出法の開発など、力検出型ESR技術のブレイクスルーにつながったといえる。
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Research Products
(9 results)