2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17757
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
服部 泰佑 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 博士研究員 (80757667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクチナイド化合物 / 非従来型超伝導 / 核磁気共鳴法 / ナイトシフト / 超伝導対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクチナイド化合物URu2Si2では従来見られなかった新しい特徴を持った超伝導状態が近年報告されている。本研究の目的は、世界最高純度の単結晶URu2Si2試料を用いて核磁気共鳴法(NMR)を行い、その超伝導対称性を微視的に決定し、本系で期待されている高次多極子ゆらぎと呼ばれる新しい超伝導発現機構について理解を深めることである。
本年度はまず、NMRが可能な同位体29-Siを購入し、29-Siを高濃度に濃縮した純良単結晶試料を準備した。次に、その純良単結晶試料を用い、超伝導状態におけるNMRナイトシフトの測定を行った。NMRナイトシフトは電子の磁化率を微視的な視点から測定する手段であり、超伝導対称性を決定する上で非常に強力な手法となる。具体的には、超伝導転移に伴うナイトシフトの変化を測定することでスピンが互い違いに向いて対を作るスピン一重項超伝導か、スピンが平行に対を組むスピン三重項超伝導のどちらが生じているかを決定することが出来る。本年度は磁化困難軸方向(結晶軸a方向)に磁場をかけた上でのナイトシフト測定を行った。
29-Siを濃縮した純良単結晶試料を用いたことで、これまでにない精度で、超伝導状態のナイトシフトを測定することに成功した。その結果、本系の超伝導状態を特定する重要な結果を得た。今後の継続的な研究によって本系の超伝導対称性の決定が可能となり、超伝導発現機構の決定に際しても重要な情報となる。 本成果は日本物理学会誌において出版されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超伝導対称性を決定する上で非常に重要な、超伝導状態におけるナイトシフト測定(磁化困難軸方向)に成功し、その成果について論文もすでに出版されている。 継続中の核磁気共鳴測定及び詳細な解析により第一の目標である非従来型超伝導対称性の決定は達成される。 対象としている化合物の特性により測定にはどうしても時間を要するため、予定より早く進んでいるわけではないが、順調に進展しているため上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在継続中の超伝導状態におけるNMRナイトシフト測定を完遂し、その結果を解析することで、本系URu2Si2における非従来型超伝導の特徴を明らかにする。その結果は次年度中に論文発表し、また国際会議SCES2017でも発表する予定である。
その後、本系で見られている磁気状態の強い異方性に着目した研究を推進する。 その際重要となる圧力下での核磁気共鳴測定について準備を進める。
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Causes of Carryover |
平成28年度の主たる購入品の濃縮同位体 Si-29は時価性が強く、当初計画において想定していた金額より実際の購入額が高くなったため、他の消耗品の購入に係る費用を抑えたことにより、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については寒剤等の消耗品購入費用に使用し、平成29年度分経費については当初計画のとおり、一軸圧力測定用の圧力セルの購入や学会発表に係る費用として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)