2017 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding hydraiton-water dynamics related to amyloid fibril formation
Project/Area Number |
16K17783
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 直樹 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (90580671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 広帯域誘電分光 / タンパク質の水和水 / アミロイド線維 / 回転緩和 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アミロイド性タンパク質の構造や機能と関係するダイナミクスを抽出するという目的を掲げ、特にタンパク質を取り囲む水、いわゆる水和水との関係性に着目しておこなったものである。本研究で着目しているギガヘルツ(GHz;10の9乗 Hz)-テラヘルツ(THz;10の12乗 Hz)の周波数領域では、主にピコ秒(ps; 10の-12乗秒)-ナノ秒(ns; 10の-9乗秒)のダイナミクスを観測することができ、そこには水和水とタンパク質の回転がカップリングした回転緩和や、水和タンパク質の大局的な振動である低振動運動が存在する。これまでの研究において、複素誘電率スペクトルにおいて観測される回転緩和の、緩和時定数や緩和強度がタンパク質表面の性質を鋭敏に反映することがわかっており、本研究ではその特徴を利用して、タンパク質の正しいフォールド状態と、究極のミスフォールド状態であるアミロイド線維を、複素誘電率スペクトル測定を元に、分光学的に区別することを最終目標としておこなったものである。回転緩和は温度変化に対して非常に敏感に周波数シフトする成分であることから、この目標達成のためには、GHz-THz領域における温度変化測定が必須であった。THz領域の温度変化システムは先行研究ですでに構築済みであったが、GHz領域の温度変化システムは未開発であったため、本研究ではまずGHz領域の温度変化測定システム開発およびそれを用いた温度変化測定を目指した。その結果、コストを抑えつつ再現性欲温度変化測定がおこなえるセルの作製に成功し、それを用いて、世界に先駆けてモデル膜タンパク質である紫膜のGHz-THz領域における温度変化測定に成功し、学術論文にまとめた。また、インスリン由来アミロイド線維に対して同様の測定を行い、アミロイド線維形成に伴って水和水のダイナミクスが変化することを示唆する結果を得た。
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