2018 Fiscal Year Research-status Report
大規模変形から迫る氷天体の進化:内部海存在の普遍性
Project/Area Number |
16K17787
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鎌田 俊一 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (40723474)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 冥王星 / 熱進化 / 内部海 / 氷地殻 / 粘弾性変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は主に冥王星に着目し、長期内部熱進化と、氷地殻の長期粘弾性変形の研究を行った。前者は前年度開発した熱進化計算コードを用いて、後者は申請者が過去に開発した粘弾性変形計算コードを用いて行った。冥王星は潮汐による加熱が効かないために比較的シンプルな熱進化を経たと想像され、新規開発である前者のコードを用いた計算の適用先として適切だと考えた。まず最初に、冥王星の最深部には岩石でできた核があり、その上に純水でできた内部海があり、さらにその上に純粋な水氷の氷地殻あるという最も単純な3層内部構造モデルを仮定した熱進化計算の結果、内部海を現在まで(つまり45億年間)維持することはできないことがわかった。この結果は、New Horizons による探査結果と矛盾するものである。また、冥王星の氷地殻の下端における緩和の時間スケールを見積もったところ、典型的な水氷の物性を用いると100万年程度となることがわかった。そのため、古い(>10億年)地下起伏は現在は残されていないことになるが、この結果もまた New Horizons による探査結果と矛盾するものである。これらの結果は、冥王星の上層は純水でできた海と純粋な水氷の氷地殻ではできておらず、少なくとも最外層の氷地殻はかなり冷えて堅くなっていることがわかった。これらの一部については、日本地球惑星科学連合2018年大会や COSPAR 2018 パサデナ大会などで発表された。また論文についても執筆し、国際学術誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度が最終年度であるが、論文査読に予想を上回る時間を要し(>半年)、年度をまたいでしまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
論文の受理に向けた作業を行うと同時に、氷衛星への適用を目指し軌道進化のコード作成に着工する。
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Causes of Carryover |
論文出版費用として確保した予算が、論文出版まで時間を要しているため繰り越した。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] JUICE 搭載ガニメデレーザ高度計 (GALA) - 概要および日本チーム開発状況2018
Author(s)
塩谷圭吾, 並木則行, 小林正規, 木村淳, 荒木博志, 野田寛大, 田澤誠一, 押上祥子, 鹿島伸悟, 宇都宮真, 石橋高, 小林進悟, 山脇敏彦, 東原和行, 尾崎正伸, 水野貴秀, 斎藤義文, 鎌田俊一, 他
Organizer
日本惑星科学会2018年秋季講演会
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