2016 Fiscal Year Research-status Report
地震学的データの複合解析による地震波速度時間変化の深さ分布と回復過程
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16K17788
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
高木 涼太 東北大学, 理学研究科, 助教 (10735963)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 地震波干渉法 / 地震波速度時間変化 / 地震波速度異方性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
東北地方太平洋沖地震時とその後の地殻構造の時間変化を明らかにするため、東北地方太平洋沖地震を含む期間における遠野アレイの地震観測データを収集・整理した。また、遠野アレイ内において、さらに短スパンのアレイ観測を立案し、地震計の設置場所等を検討し調査した。地震波速度時間変化の解釈には常時微動波動場の時間変化の影響を考慮する必要ある。そのため、短スパンアレイ観測によって、地震波干渉法解析に使用する常時微動波動場の構成成分や指向性などの理解が深まり、地震波速度時間変化の解釈の手助けとなると期待される。日本列島スケールの常時微動波動場については、地震波の粒子軌跡を利用した解析を実施し、常時微動の到来方向やその季節変化を明らかにした。
地震波速度時間変化のメカニズムを理解するためには、地震波速度に加えて異方性や地下水など多項目観測データの比較が重要である。そのため、多項目の地球物理学的・水理学的観測が行われているニュージーランド・アルパイン断層における地震観測データを解析した。ボアホール底と地表に設置された地震計で観測された波形データに地震波干渉法解析を適用し、地殻浅部における地震波速度異方性を明らかにした。異方性は下盤側では応力に支配されているのに対し、上盤側の断層破砕帯では異方性の方向が断層走向に平行であり、破砕帯内の亀裂や岩石の持つ片理に支配されていることがわかった。また、断層破砕帯内において異方性強度の周波数依存性を見出し、亀裂内に流体を含む岩石モデルにより周波数依存性の傾向を説明できる可能性を示した。地殻内の流体は地震波速度を変化させると考えられるため、本研究による地震波速度異方性と水理学的観測結果の比較により、地震波速度変化の物理的解釈に迫れる可能性がある。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析に使用する遠野アレイにおける地震観測データを収集・整理できたものの、東北地方太平洋沖地震時の地震波速度変化とその後の回復過程の検出には至っていない。そのため、当初の計画に比べて、研究の進捗がやや遅れている。しかし、地震波の粒子軌跡を用いた解析により、地震波干渉法解析に使用する常時微動波動場に関する理解を深めることができた。得られた結果は、常時微動波動場の時間変化が地震波速度変化の推定に与える影響の見積りに有用であり、地震波速度時間変化の解釈の際に役立つと考えられる。また、ニュージーランドにおける地震観測データの解析では、地震波速度異方性というパラメータに注目して、地震波速度異方性と応力場や断層破砕帯内の構造との比較を行うことができた。地震波速度変化のメカニズムを理解するためには多項目の観測データや岩石モデルとの比較が重要と考えられるため、今後の研究を進める上で有益な結果が得られたと考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
収集した遠野アレイのデータや、アレイ内に新たに設置する予定のより短スパンの地震観測データを用いて、常時微動の地震波干渉法とボアホール底と地表に設置された地震計間での鉛直アレイ解析という二つの方法により地震波速度変化を検出する。常時微動源には季節変動が存在することがわかったため、地震波干渉法を適用する際には、コーダ波の使用や常時微動源の変化を考慮した解析手法を検討する。常時微動は主に表面波で構成されるため、表面波の深さ感度を利用し、二つの解析結果の関係と地震波速度変化の深さ分布を明らかにする。地震時の変化のみならず、地震後の長期的な変化について、二つの解析結果の関係を議論する。また、ニュージーランド・アルパイン断層における地震観測データも二年間分蓄積されたため、遠野アレイと同様の解析により地震波速度と異方性の時間変化の検出を試みる。異なるテクトニクスを持つ地域における結果の比較・検討するとともに、地震波速度時間変化の要因について議論する。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 地震波干渉法によるニュージランドアルパイン断層近傍のS波異方性の推定2016
Author(s)
高木涼太, 岡田知己, 吉田圭佑, John Townend, Carolin Boese, Laura-May Baratin, Calum Chamberlain, Martha Savage
Organizer
研究集会「海洋－固体地球システムにおける波動現象と構造不均質性」
Place of Presentation
東京大学地震研究所（東京都文京区）
Year and Date
2016-08-30 – 2016-08-30
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