2018 Fiscal Year Annual Research Report
Depth distribution and recovery process of seismic velocity change by combined analysis of seismological data
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16K17788
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 涼太 東北大学, 理学研究科, 助教 (10735963)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地震波干渉法 / 地震波速度変化 / 常時微動 / 相互相関関数 / 胆振東部地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震波速度変化の深さ分布を解明するためには、常時微動波動場の構成成分を理解し、地震波干渉法による合成波形が持つ深さ感度を明らかにする必要がある。そのため、基盤地震観測網Hi-netおよび独自に設置した遠野短スパンアレイを用いて、表面波と実体波を含めた常時微動波動場を明らかにした。Hi-netを用いた解析では、脈動振幅が小さい時に遠洋で励起された実体波成分が卓越していることを示し、地下深部構造推定に有用な実体波の抽出に対して新たな示唆を与えた。遠野短スパンアレイの解析では、相関波形の経過時間とともに波動場が変化し、地下の異なる深さに感度をもつことを観測から示した。 また、地震波干渉法解析を過去10年分の遠野アレイデータに適用し、2011年東北沖地震に伴う地震波速度変化の回復過程を調べた結果、地震後の0.5%程度の速度低下は2017年までにほとんど回復していないこと、また、解析周波数範囲の上限の2 Hz程度の周波数帯域ではそれより低周波数帯域に比べてに回復速度が早い傾向にあることがわかった。回復速度の周波数による違いは、深さにより回復過程が異なる可能性を示唆する。 さらに、地震波干渉法に基づく自己相関解析により、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震に伴う地下構造変化を検出した。速度低下率は2-3%であり、強震動による動的歪みの大きさと相関を持つことから、強震動による浅部地盤の剛性率低下が地震波速度低下の要因であると考えらえる。また、地震前後における相関波形形状の変化を捉えることができた。この波形変化は、深さ30 km程度における散乱特性の変化を反映していると解釈でき、本震の断層すべりに伴うクラック形成を検出した可能性がある。このように、地震波干渉法を用いることで、地表付近だけではなく地下深部の断層帯周辺の構造変化を捉えられることを示した。
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Research Products
(3 results)