2017 Fiscal Year Research-status Report
海陸電磁気データ統合解析による巨大地震発生帯の流体挙動の解明
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16K17793
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市原 寛 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (90553074)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 南海トラフ / 地震 / 間隙流体 / 電気伝導度構造 / 海陸統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
電磁場観測によって明らかとなる電気比抵抗構造は、地震発生解明のための基本的な情報である地下の物性や流体分布に制約を与える。しかし、特に南海トラフの地震発生帯では海陸境界域において比抵抗構造が未解明であった。本研究では、海底電磁気観測と海陸データの統合解析によって、南海トラフの海陸境界域における比抵抗構造を解明する事を目的としている。 2017年度は海陸の電磁場データを統合して三次元比抵抗インバージョンを実施する際の最大の問題となる、海底および陸上の地形がmagnetotelluric法データ(MT impedance)に及ぼす影響の評価を行った。その結果、フォワード計算において必要な計算精度を担保するのに必要な計算メッシュデザイン(計算精度の担保に必要な海水の範囲及び垂直・水平方向のメッシュの細かさ)についての知見を得た(市原・多田、2018)。 また、2016年度に引き続き、宮崎沖ー足摺岬沖周辺における海底電位差磁力計(以下OBEM)の投入及び回収を神戸大学大学院海事科学研究附属練習船深江丸を用いて実施した。天候不順により当初計画の半数のOBEM設置及び回収のみしか実施できなかったものの、得られた電磁場データは良好な太陽活動起源の擾乱を記録しており、比抵抗構造の解明に必要な精度の高いMTレスポンスが得られた。現在設置中のOBEMについても、同様の海域において磁場擾乱期に測定を実施していることから、同様の磁高精度のMT impedanceが得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天候不順によりOBEMの設置・回収が一部できなかったことから、観測面では遅れが生じてしまったが、解析面で対象となる南海トラフを対象とした海陸のデータを統合したインバージョンのシミュレーションができるなど、進捗があった。そのため、計画全体としてはおおむね順調に進展している。また、研究航海については2018年度に実施する目処が立ち、観測面についても順調に進む事が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は現在観測中の海底観測機器の回収を8月頃に進め、迅速にデータ解析を進める。また、陸上で得られている他の研究プロジェクトのデータを入手し、海陸を統合したデータセットによる比抵抗構造の解明を進める。
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Causes of Carryover |
天候不順によって2017年度に予定していた海底観測機器の設置回収ができなかったため、2018年度に研究航海実施する必要が生じた。2018年度は8月頃に研究航海の実施を計画しており、そのための機器整備および旅費等に助成金を使用する。また、当初の計画通り研究成果の発表にも助成金を使用する。
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