2016 Fiscal Year Research-status Report
惑星大気大循環に関する階層的数値モデル群の構築による金星大気超回転の解明
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16K17809
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
樫村 博基 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (80635186)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大気力学 / 地球流体力学 / 階層的 / 数値モデル / 球面調和関数変換 / Ruby |
Outline of Annual Research Achievements |
乾燥大気の数値モデルを構成する要素は、基礎方程式系の他に、ジオメトリ、乱流拡散過程、加熱強制の分布などがある。ここでいう、乱流拡散過程とは、数値モデルの解像度以下の流体運動の影響をモデル化したものである。本年度はまず、気象学や地球流体力学に関する最新の図書・文献を収集した。それらをもとに、乾燥大気の基礎方程式系に関するあらゆる種類の近似系を調査し、近似の度合いに応じて序列をつけ、階層化して整理した。系のジオメトリ、乱流拡散過程、加熱強制の分布についても調査し、複雑さや簡単化の度合いに応じて階層化した。 次に数値モデルを作成するにあたり、使用するプログラム言語をFortran、Julia、Rubyの中から検討した。Fortranは気象学の分野で古くからが使用されているため、多くのライブラリが利用可能であり、また実行速度も速いが、記述の柔軟性は近年のスクリプト言語に比べて悪く、本研究で目的とする階層的数値モデル群を構築・運用するには効率的でない。Juliaは科学計算処理を念頭に設計された言語であり、スクリプト言語でありながら実行速度が速い。しかしながら、気象学分野での実績が乏しく、利用可能なライブラリが少なく、モデル開発には時間を要すると見込まれる。一方、Rubyは非常に柔軟な記述ができる汎用スクリプト言語であり、気象学分野ではデータ解析・可視化用のプログラム言語として使われている。Ruby自体の実行速度は高速ではないものの、計算負荷の高い部分をC言語で記述する拡張が可能である。そこで本研究では、Rubyを利用して数値モデル群を開発することにした。本年度は、計算の核となる空間微分計算を含む球面調和関数変換のコードを作成しモジュール化した。この部分をモジュール化したことで、球面やβ平面などのジオメトリの違いをモジュールを切り替えることで対応できるように設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
雇用環境の変化により、本研究に割けるエフォート率が削減されたため、研究計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、球面やβ平面などのジオメトリ毎に個別に数値モデル化する予定であったが、空間微分計算を含むスペクトル変換部分をモジュール化することで、異なるジオメトリ間の切り替えが可能となる見通しが得られた。そのため、モデル開発にかかる時間は計画よりも削減できる予定である。ただし、エフォート率削減の影響で、進捗が引き続き遅れる可能性もあるため、研究期間の延長も視野にいれている。
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Causes of Carryover |
雇用環境の変化により、本研究に割けるエフォート率が削減され、研究計画よりもやや遅れている。応じて、当初の使用計画も遅れており、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
助成金使用の遅れは、研究進捗の遅れに応じたものであるため、助成金は使用時期が遅れるものの今後の研究進捗に応じて計画通りに使用していく。すなわち、モデル開発が完了し、数値実験を行う段階で計算用のワークステーションを購入する。各種学会・研究会にて成果発表のための国内・海外旅費を使用する。また論文出版のために投稿出版料として助成金を使用する。
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