2016 Fiscal Year Research-status Report
超高速並列デジタル分光計による太陽電波微細バースト研究
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16K17813
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
岩井 一正 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所宇宙環境研究室, 協力研究員 (00725848)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 太陽電波 / 電波バースト / デジタル分光 / 宇宙天気 / FPGA |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽面の爆発現象(フレア)で生成される高エネルギー粒子は地球の超高層大気や、人工衛星の運用に影響を与え 、近年その生成の理解や予報に対して社会的要請が高まっている。この高エネルギー粒子はGHz帯域に1ミリ秒未満の突発的な電波を放射し、その電波スペクトルの時間変動が粒子のエネルギーを反映する。本研究ではFPGAを用いた新型デジタル分光装置を開発し、これを用いていまだかつてない、超高時間・高周波数分解なGHz帯域の電波スペクトル観測を実施し、観測されたスペクトルデータの時間変動を解析することで、粒子の加速過程の解明を目指す。 本年度は、FPGAとAD変換器を組み合わせてデジタル分光計のプロトタイプを開発しその性能評価を行った。その結果、時間分解能、周波数分解能だけでなく、実効ダイナミックレンジ、高調波特性、安定性などにおいても従来型の一般的な周波数解析装置に比べ高い性能を有していることがわかった。また本試験結果をまとめて論文に投稿した。このプロトタイプは10bitのAD変換器を用いたが、更に広いダイナミックレンジを獲得するため12bitのAD変換器を用いた改良型の分光計を開発した。その結果、プロトタイプに比べて広いダイナミックレンジとより良い高調波特性を持つ分光計が得られた。 電波の分光観測は粒子のエネルギーを導出できるが、粒子の生成領域や伝搬方向はわからない。そこで、分光観測と相補的なこれらの情報を得られる電波干渉計を用いた太陽電波観測実践を行った。用いた装置は米国国立電波天文台が保有する超大型電波干渉計JVLAで、現地に実際に滞在して実験を行った。その結果、1ミリ秒未満の突発的な電波を放射が主に観測される1GHz~10GHzの全帯域で太陽電波バーストの観測が可能となった。今後は新型分光計の分光データと干渉計による位置情報を合わせた包括的な研究が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、FPGAとAD変換器を組み合わせてデジタル分光計のプロトタイプを開発しその性能評価を行った。その結果、時間分解能、周波数分解能だけでなく、実効ダイナミックレンジ、高調波特性、安定性などにおいても従来型の一般的な周波数解析装置に比べ高い性能を有していることがわかった。また本試験結果をまとめて論文に投稿した。加えて更に広いダイナミックレンジを獲得するため12bitのAD変換器を用いた改良型の分光計を開発した。その結果、プロトタイプに比べて広いダイナミックレンジとより良い高調波特性を持つ分光計が得られた。このように、最新のデバイス・技術を用いて最高性能のデジタル分光計を開発していくという本研究の最初の目標は順調に進展している。 電波の分光観測は粒子のエネルギーを導出できるが、粒子の生成領域や伝搬方向はわからない。そこで、本年度は分光観測と相補的なこれらの情報を得られる電波干渉計を用いた太陽電波観測実践を行った。用いた装置は米国国立電波天文台が保有する超大型電波干渉計JVLAで、現地に実際に滞在して実験を行った。その結果、1ミリ秒未満の突発的な電波を放射が主に観測される1GHz~10GHzの全帯域で太陽電波バーストの観測が可能となった。今後は新型分光計の分光データと干渉計による位置情報を合わせた包括的な研究が可能となり、来年度以降に更なる成果が期待できる予備実験結果も得られていると言える。 以上より、本年度の研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に開発・改良した最新のデジタル分光計を用いた太陽電波バーストの観測を行う。研究代表者は平成29年度より名古屋大学に異動したが、平成28年度まで所属していた情報通信研究機構とは継続して協力関係にあり、引き続き情報通信研究機構の山川望遠鏡を用いて太陽電波バーストの観測実験が可能である。デジタル分光計に用いることができるデバイスは日々進化しているため、平成29年度も可能なかぎり改良し更なる高分解な分光計の開発を目指す。 観測と並行して観測データの解析による超微細バーストの分解を目指す。平成28年度中に行った実験期間中に既に複数のバーストの取得に成功しており、これらのデータの解析を優先して進める。 研究代表者が異動した名古屋大学宇宙地球環境研究所では山川望遠鏡と重複する周波数帯域に山川望遠鏡の10倍近い面積を持つ3機の大型電波望遠鏡を保有しているが、データ処理は従来型の装置に頼っている。研究が順調に進めば、これらの大型装置に新型分光計を搭載することを検討し、更なる多様な科学成果の創出を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は新しいデジタルデバイスを購入し、新しい分光計の開発研究を行う予定だった。しかしこの実験に用いるデバイスの一部を共同研究者から無償で提供してもらえた。この提供してもらったデバイスを用いて、研究自体は計画通りに進んだ。そのため物品費が計画よりも少なくて済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の開発研究は非常に順調に進み、現在国際誌に論文を投稿し査読を受けている。平成29年度はこの論文の掲載費用や国際研究集会における発表のための旅費に昨年度の余剰資金を投入する。
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Research Products
(2 results)