2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17826
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 友彦 東京工業大学, 地球生命研究所, Affiliated Scientist (80714831)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地球史 / 前期原生代 / ガボン / 化石 / 堆積岩 / 炭素同位体 / 窒素同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカ・ガボンで発見された前期原生代の大型生物化石は、真核生物あるいは多細胞生物の化石と解釈されているが、その進化の直接的なきっかけとなる環境要因は未解明である。本研究課題では、現地での地質調査により、ガボン化石が出現した詳細な場所を特定し、その場所の造構場および地球化学的な特徴を調べることにより、生物進化に必要な条件の解明に取り組んでいる。 2016年度に、ガボン南西部に位置するフランスヴィル堆積盆地において地質調査を行った。4つに細分される前期原生代堆積盆地のうち、フランスヴィル、ラストゥールヴィル、オコンジャ地域における計20セクションの露頭を観察し、詳細に層序の記載を行い、計400個の岩石試料の採取を行った。各地域において、異なる種類の化石 (多くが未記載) が産出し、層序・堆積相も大きく異なる事が明らかになった。 採取した岩石試料について、まず地層への年代制約を加えるため、化石を含む堆積岩層へ貫入する閃長岩のジルコンU-Pb 年代測定を行った。その結果、ガボン化石の出現は約22億年前である事が示唆された。次に、基礎的な化学層序として、堆積岩のδ13C, δ18O, δ15N, 87Sr/86Sr を測定した。とくに、化石出現層よりも下位に相当するラストゥールヴィル地域の炭酸塩岩層において、δ13Corgの負異常 (-30 ‰から-45 ‰) が得られた。これは、フランスヴィル地域においては見られない同位体変動である。一方、δ15Norgは正異常 (+2 ‰から+6 ‰) を示すことが初めて明らかになった。これらの同位体層序は、ラストゥールヴィルがフランスヴィル地域よりも早い段階で嫌気的な環境へと転じたことを示唆する。さらに、オコンジャ地域に産するガボン化石について、X線マイクロCTを用いた3次元内部構造の観察、およびSEM-EDSを用いた化石断面の微細構造の元素マッピングを行った。その結果、球状の微生物コロニーの化石である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画において最も重要な「ガボンにおける地質調査・試料採取」を、2016年7月に遂行し、計400個の岩石試料を得る十分な成果が得られた。採取した試料について、年代測定、基礎的な化学層序の検討、および化石の観察を行った。これらの分析結果を、学会 (日本地球惑星科学連合大会、日本進化学会、日本地質学会、ELSI International Symposium) において発表した。また、年代測定および化石についての成果は、Sawaki et al. (2017, Geoscience Frontiers) およびEdou-Minko et al. (2017, J. Geol. Geophys.) として論文発表済みである。2017年1月には、ガボンの共同研究者であるMathieu Moussavou教授、Cedric Ligna氏、Karen Bakakas氏の3名を招聘し、議論・分析を行うなど、今後の調査・研究計画の打ち合わせも順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
前期原生代ガボン生物の出現における造構場・環境条件を明らかにするため、これまでに得られた予察的な分析結果を踏まえ、フランスヴィル、ラストゥールヴィル、オコンジャ各地域における大型化石の種類および同位体層序の違いに着目し分析を推進する。さらに、2017年7月に再びガボンでの地質調査を行う予定である。とくに、新たな化石が発見されてはいるものの、これまで層序が十分に検討されてこなかったオコンジャ地域において陸上掘削試料の採取を行い、化石出現前後における連続的な環境変動の復元を目指す。
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Causes of Carryover |
前期原生代のガボン生物出現時の環境変動の解読には、層序的に連続な堆積岩試料が不可欠である。しかし、現地の地質調査により、地層の露出が乏しい森林地帯である事や、地域間の層序を対比する事が困難である事から、新たに連続的な陸上掘削試料を採取する必要があると判断した。ガボンの共同研究者および現地の掘削業者との打ち合わせにより、2017年度の調査時にオコンジャ地域においてサンプリングを行う事になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年7月にガボン・オコンジャ地域での地質調査を行う際に、陸上掘削試料採取の費用に充てる。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] An Akouemma hemisphaeria Organic Macrofossils Colony Hosting Biodiversity Assemblage on the Seafloor of Okondja Basin (Gabon) dated at 2.2 Ga2017
Author(s)
Edou-Minko A., Moussavou M., Sato T., Tchikoundzi C., Sawaki Y., Ndong Ondo S., Ortega R., Maire R., Kaestner A., Mbina Mounguengui M., Roudeau S., Fleury G., Carmona A., de Parseval PH., Makaya Mvoubou., Musavu Moussavou B., Ogandaga Agondjo M., Sasaki O., Maruyama S.
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Journal Title
Journal of Geology & Geophysics
Volume: 6:281
Pages: 1-21
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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