2016 Fiscal Year Research-status Report
前期白亜紀アジアにおける真獣類の初期多様化とそれに伴う哺乳類相の変化
Project/Area Number |
16K17830
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
楠橋 直 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (70567479)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 哺乳類 / 白亜紀 / 多様化 / 真獣類 / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は前期白亜紀の後半に真獣類が多様化したことに伴い,哺乳類相がどのように変化したのかを探ることを目的とする.研究は,1) 標本の収集,2) 標本の観察と分類学的検討,3) 他産地・地域の既存の標本との比較 の3点に重点をおいて進める. 本年度はこれまでに引き続き,中国科学院古脊椎動物與古人類研究所 (IVPP) の協力のもと,中国遼寧省阜新の炭鉱で10日間程度の発掘調査をおこなった.中国における石炭生産のコントロールの影響で,稼働炭鉱が少ない中,それでも10点程度の前期白亜紀哺乳類化石標本を採集した.これまでの同地域での成果と比べると,得られた標本は数・質ともに劣るものの,世界的に見ればこの時代の哺乳類化石がこれだけ見つかれば,調査は大成功と言って良い. 新たに発見した標本も含めて,IVPP で観察をおこない,主に分類学的検討を進めた.現在 3 篇の論文を執筆中.うち 1 篇は共著者によるチェック中で間もなく投稿できると思われる.予察的な内容は 8 月にロシアでおこなわれた IGCP 608 の国際シンポジウムで発表した.また,そのためにロシアへ行った際に,サンクトペテルブルグの動物学研究所で,白亜紀哺乳類化石標本の観察をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はで重点をおいている 1) 標本の収集,2) 標本の観察と分類学的検討,3) 他産地・地域の既存の標本との比較については,いずれも順調におこなうことができたと考えている. 発掘調査で得られた標本はこれまでの実績と比べると劣るものの,これまでの調査で得られた標本も多くあるため,研究自体への影響は小さい.むしろ今後二度と発掘できなくなる前に,少しでも化石が得られたことは貴重だと考えている. 未だ投稿には至っていないものの,論文執筆を開始できる程度には分類学的検討が進められている.また,予察的な内容を国際シンポジウムで発表できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も上述3点に重点をおいた研究を進める.標本収集のための発掘調査については,平成29年度は5月下旬を予定しており,現在中国側協力者に炭鉱の状況を確認してもらっている.ここ2年ほど冬季のみしか稼働していない炭鉱が多く,そのため9月・10月の調査では化石を探すためのズリがほとんどないか著しく風化しているケースが多かったため,平成29年度は調査時期を5月にして状況を見たいと考えている.その後の調査予定については,その時々の状況を確認して判断する.炭鉱の状況その他により仮に発掘調査がおこなえなくても,これまでの調査で得られた標本は多いため,研究への影響は小さい.ただし少しでも標本は多い方が研究の精度は上がるので,万一に備えて別の産地開拓も検討中である.
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Research Products
(2 results)