2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17832
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
田阪 美樹 島根大学, 総合理工学研究科, 講師 (80772243)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | かんらん石 / 輝石 / 鉱物混合層 / 歪弱化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自の工夫に基づき大変形を伴うかんらん岩ねじり実験を行い、また実験から得られた変形特性や岩石組織の解析を行うことで、鉱物混合層形成と歪み集中の過程を明らかにすることを目的としている。 本年度は主に3つの事を行った。 (1) 世界で唯一かんらん岩の大変形を伴うねじり実験が可能な、アメリカのミネソタ大学Kohlstedt研究室所有のガス圧式変形試験機を用い、鉱物混合層形成と歪弱化の過程を実験的に再現することに成功した。この試験機は、圧力容器の中で荷重と変位が測定できるため、高精度の力学データを得ることができる。さらに一般的な固体圧試験機に比べ試料サイズが大きいため(直径10mm高さ5~10mmの円柱)精密な変形組織の観察が可能となる。これまでに、歪み量・歪速度の異なる条件でねじり実験を合計8回行い、高精度の応力・歪速度データと変形組織を得ることができた。 (2) 実験で用いた出発試料、実験から得られた変形試料を用いて鉱物混合層形成の素過程を理解するために詳細な微細構造解析を行った。具体的には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実験試料の細粒鉱物混合層を解析し、画像解析ソフトImageJと付属のマクロ (Heilbronner & Barrett 2014) を使い、粒径、粒界長さ、粒子の凹凸、結晶方位の相互関係を解析した。 (3) 実験から得られた、力学データ(歪速度、歪み量、応力)の解析を行い、歪み集中に伴う変形メカニズムの変化を得ることに成功した。 また上記の解析結果を論文としてまとめ、国際誌JGRに2本の姉妹論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属が変わり、研究環境を整えるために時間がかかっている。また研究代表者が産前産後休暇・育児休暇を取得したために、その期間研究ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
かんらん石・輝石の量比の違う試料を用いた変形実験の試料について、その力学データと微細構造解析を行い、変形と微細構造発達におけるSiO2アクティビティーの効果を求める。 微細構造解析は愛媛大学の共同利用制度を使って行い、力学データの解析は研究代表者が在籍する島根大学で行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属が変わったために、必要となる実験機器に変更が生じた。具体的にはシリコニット製の電気炉(200万円相当)を購入予定であったが、異動した島根大学では同様の電気炉がすでに導入されていたため、購入しないこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
電気炉の温度をプログラム制御する装置(チノー)、岩石片を切断する精密カッター(リファインテックRCA-005 LAW)、実験試料を研磨する装置(ダイヤラップML150P)の購入を検討し現在見積もりを取っている
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