2017 Fiscal Year Research-status Report
原位置実験によるフェリハイドライト相転移と吸着REEの分配挙動の解明
Project/Area Number |
16K17836
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Research Institution | Industrial Research Institute of Ishikawa |
Principal Investigator |
宗本 隆志 石川県工業試験場, 化学食品部, 主任技師 (00745937)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フェリハイドライト / 相転移 / 希土類元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱力学的に準安定なコロイドやナノ鉱物による微量元素の分配は、元素の移動に影響を与える重要な地球化学プロセスとして考えられてきたが、天然環境で適用可能な統一的な理解のためには、準安定鉱物の相転移における吸着元素の分配挙動を一連の事象として扱う必要がある。本研究では、代表的なナノ鉱物であるフェリハイドライトと希土類元素を対象に、天然の地下水中で原位置相転移実験を行い、天然環境での相転移挙動と分配挙動が天然環境における元素の移動におよぼす影響を解明する。 本年度は、希土類元素を吸着させたフェリハイドライトの相転移実験を行った。希土類元素を吸着させたフェリハイドライトは14日程度で安定な鉄酸化物であるヘマタイトへ相転移したことが確認された。相転移において、吸着YREEの再放出は確認されなかったため、吸着した希土類元素は相転移後にヘマタイトの内部に取り込まれたと考えられる。ヘマタイトの透過型電子顕微鏡観察および電子線回折パターンから、粒径数10ナノメートル程度のヘマタイト粒子が確認された。また、本年度から、室内実験による相転移実験に加え、天然の地下水中における相転移実験を開始した。原位置試験では、反応時間100日でフェリハイドライトは未変質であることが明らかとなった。原位置試験におけるフェリハイドライトの透過型電子顕微鏡観察結果から、粒径が5ナノメートル程度の粒子が確認された。原位置試験において、地下水中に含まれる溶存イオンが相転移を阻害したと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、本年度から原位置試験を開始した。今年度は、原位置試験における水質条件の解析ソフトウェアを導入し、熱力学的な解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、これまでに得られた吸着実験および室内実験におけるフェリハイドライトの相転移挙動に関する研究成果を国際学会で発表する。また、天然の地下水中でフェリハイドライトが未変質であった原因について、水質条件の熱力学的な解析から考察する。
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Research Products
(1 results)