2017 Fiscal Year Research-status Report
有機堆積物による地球表層から深部への新たな窒素の供給メカニズム
Project/Area Number |
16K17839
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠崎 彩子 北海道大学, 理学研究院, 助教 (80570506)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 窒素 / 沈み込み帯 / 芳香族化合物 / ピストンシリンダー / ダイヤモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続いて、ピストンシリンダー型高温高圧発生装置を用い、窒素を含む複数種類の芳香族化合物を出発物質として、300 ℃、1.5 万気圧までの条件での高温高圧実験を行った。温度圧力条件や保持時間を変えた複数回の実験を行った。実験後、常温常圧に回収した試料のGC-FID分析から出発物質の残留量を調べ、化学反応が起こる温度圧力条件を明らかにした。さらに回収試料の有機元素分析を行い、化学組成比から、化学反応に伴う窒素の挙動を明らかにした。GC/MS,MALDI/TOF-MSといった質量分析から、化学反応生成物の質量数や分子構造の評価を行い、重合反応の有無を調べ、化学反応のメカニズムを検討した。 さらに、窒素を含む有機物の挙動をより詳細に明らかにするため、上記のピストンシリンダー型高温高圧発生装置より幅広い温度圧力条件での高温高圧実験を行うことを計画し、外熱式ダイヤモンドアンビルセルによる実験環境の整備を行った。KEK BL18Cにおける4万気圧、300度までのその場粉末X線回折実験に加えて、回収試料のラマン、赤外吸収スペクトル測定、XPS測定を行って相変化、不可逆的化学反応の有無などを調べた。また、化学反応に対する温度、圧力の効果をより明確にするため、室温下での30 万気圧程度までの圧力誘起重合反応を調べた。 上記の実験手法による研究結果から、沈み込み帯に相当する高温高圧下における窒素を含む有機物の化学反応の考察を行った。研究成果をまとめ、国内学会での口頭、ポスター発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ピストンシリンダーでの実験は順調であったが、外熱式アンビルセルでの実験については、当初想定していた温度条件では化学反応が十分に進まなかった。より高温での実験を行えるように装置の改良を行う必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
ピストンシリンダーでの実験については、出発物質を変えてさらに実験を進めていく計画である。外熱式アンビルセルでの実験について、さらに高温での実験を行えるよう装置の改良を進める。 研究成果をもとに、沈み込み帯に相当する温度圧力条件における有機堆積物中の窒素の挙動について、考察を進めていく。
|
Causes of Carryover |
外熱式ダイヤモンドアンビルセルの改良に関して、予定より時間がかかり、製作が次年度になったため、次年度使用額が生じた。 次年度は早々に外熱式ダイヤモンドアンビルセルおよび、周辺装置の導入を進める。さらに実験を進めるのに必要不可欠な消耗品である金属カプセルの材料、ダイヤモンドアンビルの購入を計画している。
|
Research Products
(5 results)