2017 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of three-dimensional structural dynamics in biological chemical reactions based on Raman optical activity
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16K17859
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤澤 知績 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60633493)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラマン光学活性 / 光受容タンパク質 / 反応中間体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ラマン光学活性(ROA)分光法を用いて光受容タンパク質の活性部位を反応過程(始状態→中間体→生成物)において計測し、時々刻々と変化する反応分子の立体構造を観測することを目的とした。初年度は、オレンジカロテノイドタンパク質の過渡的な活性状態のROA測定に成功し、本年度の初めにこの研究成果をJournal of the American Chemical Societyに公表した。しかし、オレンジカロテノイドタンパク質だけでなく、より広範な光受容タンパク質に対してこのような反応の中間状態のROA測定を行うにはラマン光学活性装置の安定化と効率化が必要であった。 そこで、本年度はラマン光学活性装置の改良から取り組み、測定方式を散乱円偏光(SCP)方式へ改良した。その結果、従来の装置では測定が困難であった複数の微生物型ロドプシンについてROAスペクトルを取得し、タンパク質環境を考慮した量子化学計算を利用して活性部位の構造解析を進めた。 また本年度も継続して光受容タンパク質の低温ラマン測定を行った。低温下では種々の光受容タンパク質の反応中間体を安定に補足することができる。測定条件を見直すことで、昨年は得ることができなかった微生物型ロドプシンの初期反応中間体のラマンスペクトルが得られるようになり、これまで報告がない複数の微生物型ロドプシンの初期反応中間体について良好なラマンスペクトルを得た。なかにはラマン信号強度が強い中間体も見出したため、低温補足法を用いたROA測定が現実的な段階に至った。
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