2017 Fiscal Year Annual Research Report
Electric field effects on the IR absorption of nanoconfined water
| Project/Area Number |
16K17861
|
|---|
| Research Institution | Kwansei Gakuin University |
|---|
Principal Investigator |
重藤 真介 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (10756696)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
| Keywords | 外部電場効果 / Confined water / 逆ミセル / 水素結合 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、電場変調赤外分光法を用いて、ナノメートルサイズに制限された空間（ナノ制限空間）に存在する水分子の外部電場に対する応答を赤外吸収スペクトルの変化として観測し、そのような環境中の水の構造や水素結合形態を明らかにすることを目的とした。
平成28年度は、ナノ制限空間の最も単純なモデル系である溶媒（1,4-ジオキサン）中に分散させた水（H2O）の電場変調赤外分光測定を行った。OH伸縮振動領域のFTIRスペクトルの濃度依存性を多変量解析を用いて解析し、1,4-ジオキサン中の水分子の単量体-二量体平衡を明らかにした。この平衡モデルに基づいて、H2Oの電場変調赤外吸収差（ΔA）スペクトルを解析したところ、外部電場印加によりナノ制限空間内の水の極性を微視的に制御できる可能性を示唆する結果が得られた。
平成29年度は平成28年度より継続して、ナノ制限空間のモデル系として広く用いられている逆ミセルの内部に閉じ込められた水（D2O）のOD伸縮振動領域のΔAスペクトルを測定し、core-shellモデルに基づいた解析を行った。陰イオン性界面活性剤AOTおよび非イオン性界面活性剤Igepalを用いて形成させた逆ミセル中の水のΔAスペクトルを比較することにより、バルクの水と近い挙動を示すcoreの水の波数領域でとくに顕著に電場応答が異なることがわかった。この結果はAOT逆ミセル中のNa+イオンがcoreの水の配向分極応答に大きな影響を与えることを示唆しており、イオンが存在する水溶液におけるタンパク質の水和水や電解質溶液中の水の電場応答を理解するうえで極めて重要な知見である。
さらに、逆ミセル中の水にジシアナミドイオンを溶解させ、その電場応答を観測することで、水溶液中のイオンの電場変調赤外分光計測を初めて可能にした。ジシアナミドイオンのCN三重結合の伸縮振動のΔA信号を検出することに成功した。
|
