2016 Fiscal Year Research-status Report
配位高分子の犠牲鋳型法による無機酸化物のマルチスケール構造制御
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16K17875
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平井 健二 北海道大学, 理学研究院, 特任助教 (10754400)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 配位高分子 / キラル材料 / ナノマテリアル / 金属硫化物 / 金属酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラル光学活性を有する有機分子は、有機化学反応によって容易に合成することが可能である。これに対して、対称性の高い分子構造を有する無機化合物では、キラル構造を構築するのは困難である。これまで、有機分子構造体を鋳型としたキラル無機材料の開発が精力的に行われてきたが、その多くはシリカや金であり、化合物の多様性に乏しい。実際に、この化合物の多様性が低いため、キラル無機材料の応用に大幅な制限がかかっている。本研究では、配位高分子ヘリックスを鋳型としたキラル無機材料の合成法の開発を目指した。 まず、グルタチオンのL体と銀イオン、銅イオンから配位高分子を合成した。得られた配位高分子は、ペプチド由来の右巻きヘリックス構造を形成していた。グルタチオンのD体を用て同様の操作を行うと、左巻きの配位高分子が得られた。これらの配位高分子ヘリックスを窒素下で焼成することで、有機配位子が分解され、金属硫化物のナノヘリックスが得られた。円偏光二色性測定により、右巻き金属硫化物ヘリックスは可視光全域で正のシグナルを、左巻きヘリックスは負のシグナルを示した。金属硫化物そのものはキラルな構造をしていないため、ナノヘリックス構造を反映した光学活性を発現したと考えられる。有限要素法によるシュミレーションにより、円偏光二色性測定のスペクトルを再現することに成功し、キラルな構造体由来のキラルな光学特性が無機化合物に付与されたことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配位高分子を鋳型としたキラル無機材料の合成に成功している。得られたキラル無機材料は従来の鋳型合成法では合成できないものである。当初の計画通り、配位高分子を鋳型とすることで、無機材料を基盤としたキラル無機材料の合成まで進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
配位高分子を鋳型とした合成法を拡張する。ペプチドを設計することで、鋳型として用いる配位高分子のヘリックス構造を制御する。鋳型の構造制御により、焼成後に得られる無機ヘリックスの構造制御とキラル光学特性の制御を行う。
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Research Products
(5 results)