2018 Fiscal Year Annual Research Report
Concerted tuning of electronic state and electron transport ability of metal complex wires
Project/Area Number |
16K17889
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 啓明 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (10771446)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 金属錯体ワイヤ / スピンクロスオーバー / 界面合成 / 直線型配位子 / 枝分かれ配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までは金属錯体ワイヤの合成とスピンクロスオーバー挙動の観測のための磁化率の温度依存性測定、およびその構造解析などを行ってきた。実験を遂行するにあたり、金属錯体ワイヤからなる薄膜物質の強度が弱く、反応容器から回収する際に容易にばらけてしまうため、大きなドメインとして回収することが困難であり、物性測定を行う際の課題となると考えられた。 本年度はこの薄膜物質の機械的強度を向上させるため、三叉型配位子と昨年度まで用いていた2,6-bis(N-methylbenzimidazol-2-yl)pyridineを配位部位に有する直線型配位子を混合した条件での合成を試みた。三叉型配位子としては、直線型配位子と同じ2,6-bis(N-methylbenzimidazol-2-yl)pyridineを有するものを新たに合成して候補物質とした。この配位子のみを用いて液液二相界面合成を行ったところ、膜状物質が界面に形成され、その色は目的の金属錯体の形成を示唆していたものの斑であり、均一な膜が形成されていないことを示唆していた。対案としてテルピジン部位を配位部位として有する枝分かれ配位子を用いたところ均一な膜が得られた。この膜は直線型配位子のみで形成された膜に比べて容易に反応容器から回収することができ、機械的強度の向上が示唆された。 また、金属錯体ワイヤの合成、キャラクタライズ、磁化率の温度依存性に関して論文投稿を行うため、一部の実験に関して再現性等の確認のための再実験などを行った。論文原稿については現在投稿準備中であり、平成31年度の前期中には投稿する予定である。
|