2016 Fiscal Year Research-status Report
有機分子触媒による不斉4級、4置換炭素構築を鍵とする天然物の不斉全合成と反応開発
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16K17903
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 圭佑 京都大学, 化学研究所, 特定助教 (20709779)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不斉反応 / 有機触媒 / 天然物合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラルなスピロ環含有化合物は天然物、医薬品に数多く存在し、中には医薬品のシードとなるような化合物が存在する。そのため、多くの研究者によって、キラルなアセタール型スピロ環、ヘテロ環含有スピロ環、スピロエーテル環あるいは4級炭素含有スピロ環の構築法の開発が盛んに研究されている。しかしながら、これまで多くの方法論が開発されているにもかかわらず、4級炭素を含有するスピロ環の構築法はヘテロ原子を有するスピロ環構築と比較し、4級炭素を作る原子の活性化自体が困難なことから難易度が高く、不斉反応への展開も方法論が制限される。申請者はこれらの課題を解決すべく有機分子触媒を用いる高エナンチオ選択的な不斉4級および4置換炭素含有スピロ環構築法を見出した。今回、開発した有機触媒反応による3環性のキラルなスピロ環化合物の合成法を鍵反応として天然物あるいは強力な生物活性を有する化合物への合成に適応を行った。具体的には有機触媒を用いる不斉4級炭素含有スピロ環構築法を鍵とするプロアポルフィンアルカロイドmisramineのラセミ全合成を達成した。また、不斉4置換炭素含有スピロ環構築法を鍵とするクロマンあるいはクロマノン化合物の不斉全合成を検討し、(-)-(R)-コルジアクロメンの触媒的不斉全合成を達成出来た。特にプロアポルフィリンアルカロイド類はその興味深い生物活性、および特徴的な構造を有しているにも関わらず、光学活性体での合成の報告例は極めて少ないため、エナンチオマー間における生物活性評価や、構造活性相関研究およびケミカルバイオロジー研究へ展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は有機分子触媒を用いる高エナンチオ選択的な不斉4級および4置換炭素含有スピロ環構築法を見出し、それらを鍵反応として天然物あるいは強力な生物活性を有する化合物への合成に適応を行った。具体的には有機触媒を用いる不斉4級炭素含有スピロ環構築法を鍵とする、特異な構造をもつプロアポルフィンアルカロイドmisramineの全合成および、不斉4置換炭素含有スピロ環構築法を鍵とするクロマンあるいはクロマノン化合物の不斉全合成を検討した。その結果、全炭素不斉4級炭素構築を鍵とするmisramineのラセミ体での全合成に成功した。また、キラルな不斉4置換炭素含有スピロ環構築法を鍵とする(-)-(R)-コルジアクロメンの触媒的不斉全合成を達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は合成計画に従い、misramineを当研究室で開発した不斉第4級炭素構築反応を用いることで不斉全合成へ展開する。これらはシンコナアルカロイド誘導体アミンを用いることで両エナンチオマーを作り分けることが可能であると考えている。また、misramineを合成した過程において出来る中間体より派生可能で、より複雑天然物であるプロポルフィリン-トリプタミンダイマー化合物の全合成を目指す。また、全炭素不斉四級炭素を触媒的に構築する新規方法論の開発にも着手する。
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Research Products
(13 results)