2016 Fiscal Year Research-status Report
2段階発光機能を搭載したアフィニティープローブの提案
Project/Area Number |
16K17930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 卓男 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (80596601)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アフィニティーラベル化 / 生物活性化合物 / 標的タンパク質 / 標的同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、生物活性化合物の標的タンパク質を高精度に同定できる新しいアフィニティーラベル化法の創出を目指している。当初研究計画において、標的タンパク質を高精度かつ高感度に検出するため、2段階発光機能を搭載したプローブ分子を設計していた。本年度は、モデルの生物活性化合物および標的タンパク質を選定し、実際にプローブ分子の合成と機能評価(蛍光特性、反応性、標的タンパク質のラベル化、標的タンパク質ラベル化の選択性など)を実施した。その結果、以下のような成果が得られた。 〔研究成果1〕計画通り、設計していたプローブ分子の合成に着手し、それを達成した。さらに、リンカー等を種々改変した誘導体の合成も行い、それを達成した。 〔研究成果2〕基礎的な有機化学実験によってプローブ分子の反応性を評価し、標的タンパク質ラベル化に適した反応性を有することを明らかにした。また、プローブ分子の蛍光特性(蛍光波長や蛍光強度)についても評価を実施し、当初計画通りの蛍光特性をもつことを確認した。 〔研究成果3〕緩衝液中、標的タンパク質にプローブ分子を添加し、ラベル化反応を検討した。その結果、期待通り標的タンパク質の蛍光ラベル化が進行することが分かった。また、本ラベル化反応は生物活性化合物と標的タンパク質の相互作用依存的に進行することが明らかになった。よって、複数の非標的タンパク質が混在する系中においても、標的タンパク質のみを選択的に蛍光ラベル化することが可能となった。 以上の研究成果より、設計したプローブ分子が標的タンパク質を同定するのに有用であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画にあったプローブ分子は想定通り数段階で合成できた。また、合成したプローブ分子の反応性や蛍光特性は期待通りのものであった。モデル実験ではあるが、標的タンパク質が選択的に蛍光ラベル化されることが明らかになり、その選択性も十分なものであった。以上のことから、本研究課題は順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
未知の標的タンパク質を同定する場合、「標的タンパク質が選択的にラベル化されること」と「標的タンパク質が高感度に検出できること」が重要である。前者については、想定以上の早さで達成することができた。今後、後者の高感度化にむけて、更なるプローブ分子の改良を検討していきたい。
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